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令和 4年11月定例会本会議-12月09日-05号
令和 4年11月決算特別委員会−12月09日-01号

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  1. 長野県議会 2022-12-09
    令和 4年11月定例会本会議-12月09日-05号


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    令和 4年11月定例会本会議-12月09日-05号令和 4年11月定例会本会議 令和4年12月9日(金曜日)  出席議員(53名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 原 健児    30 番 小池久長   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    35 番 依田明善   8 番 山田英喜    36 番 小島康晴   9 番 大井岳夫    37 番 小林東一郎   10 番 花岡賢一    38 番 毛利栄子   11 番 池田 清    39 番 和田明子   12 番 熊谷元尋    40 番 諏訪光昭   13 番 百瀬智之    41 番 山岸喜昭   14 番 山口典久    42 番 丸山栄一   15 番 小山仁志    43 番 小池 清   16 番 丸茂岳人    44 番 宮本衡司   17 番 竹内正美    45 番 清沢英男
      18 番 竹花美幸    46 番 鈴木 清   19 番 宮下克彦    47 番 高村京子   20 番 大畑俊隆    48 番 宮澤敏文   21 番 共田武史    49 番 西沢正隆   22 番 髙島陽子    50 番 風間辰一   23 番 荒井武志    51 番 佐々木祥二   24 番 埋橋茂人    52 番 向山公人   25 番 続木幹夫    55 番 萩原 清   26 番 中川博司    56 番 服部宏昭   57 番 望月雄内  欠席議員(3名)   31 番 丸山大輔    54 番 本郷一彦   34 番 石和 大  欠員(1名)         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    建設部長      田中 衛   副知事       関昇一郎    公営企業管理者   産業政策監     伊藤一紀    職務執行者・企   危機管理部長    前沢直隆    業局長       須藤俊一   企画振興部長    清水裕之    財政課長      高橋寿明   総務部長      玉井 直    教育長       内堀繁利   県民文化部長    山田明子    教育次長      尾島信久   県民文化部こど           警察本部長     小山 巌   も若者局長     野中祥子    監査委員      田口敏子   健康福祉部長    福田雄一   産業労働部長    林 宏行   産業労働部営業   局長        金井伸樹   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    総務課担当係長   津田未知時   議事課長      矢島 武    総務課主事     浜村幸宏   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   総務課主事     古林祐輝   課長補佐   議事課課長補佐   吉沢秀義   兼委員会係長   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年12月9日(金曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)    陳情取下げの件(日程追加)    議員提出議案及び委員会提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案    請願・陳情提出報告、委員会付託    陳情取下げの件    議員提出議案及び委員会提出議案         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君) これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、本郷一彦議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、竹内正美議員。       〔17番竹内正美君登壇〕 ◆17番(竹内正美 君) おはようございます。自由民主党県議団千曲市埴科郡区選出の竹内正美です。  最初に、犯罪被害者支援のための寄附型自動販売機の県有施設への設置について質問します。  長野県犯罪被害者等支援条例が本年4月に施行されました。犯罪被害者の相談対応などの支援をしてくださっている県内唯一の民間被害者支援団体が、NPO法人長野犯罪被害者支援センターです。  売上げの一部をこのセンターに寄附する寄附型自動販売機は現在県内に54台ありますが、県庁など県有施設の設置は、試験的に総合評価を採用した2020年度に設置した4台のみであり、その4台も今年度で契約終了予定とのこと。県有施設には現在414台自動販売機がありますが、そのうち寄附型自動販売機の設置は来年度からは1台もない状況となりそうです。  設置が進まない理由の一つは、県の公募制度ではないかと言われています。県が採用している公募制度は、最高額を提示したベンダーのみが権利を獲得できます。設置する権利を獲得するため、他社より高い場所代を提示する必要があり、落札しても寄附に回す余裕がなくなるからではないかと推測します。  当センターでは、相談員約40人が電話相談に応じたり裁判所に付き添ったりしています。センターの運営費の約半分は個人や民間企業からの寄附に頼っており、財政的な余裕はありません。そのため、財源確保の一つとして始めたのがこの寄附型の自動販売機の設置であり、1本当たり1円から10円が寄附額になります。  ただ、設置場所は企業と民間施設に偏っているのが現状です。私の地元でも、幾つかの企業が趣旨に賛同して、社会貢献活動として寄附型自動販売機を設置してくださっています。しかし、導入する企業からは、そもそも犯罪被害者支援の県条例ができたにもかかわらず、県有施設にはなぜ設置しないのかとの疑問の声が上がっています。  寄附型自動販売機を運営費の一部にしている犯罪被害者支援センターは全国にあり、例えば、新潟県警では、寄附型などの貢献度も加味する入札方法である総合評価方式を採用しているケースが多く、全29の警察署を含む警察施設に64台が設置されています。また、寄附型の場合は公募除外で設置しているという県が全国にあることも分かりました。  先日、北海道の警察本部を視察しましたが、ロビーにある自動販売機には大きな看板が掲げられており、「優しさつなげる 支援ができる自動販売機 あなたの1本が犯罪被害者や交通事故被害者の支援につながります」とありました。  自動販売機の収入も県の貴重な財源となっていることから、寄附型をただ増やすことがよいとは考えていませんが、民間企業も厳しい状況の中、社会貢献という目的の下、協力してくださっていますので、県の施設にも設置を検討していただきたいと望みます。  警察にとって、事件の捜査と被害者支援は車の両輪だとお聞きしました。北海道警察のようにロビーに設置することは、被害に遭って訪れた方にも心強く感じられると思いますし、何より被害者支援の現場に立たれている警察官の皆様の思いにも寄り添うことができると思います。それは、県内の機動隊や警察学校など国が保有する警察関連施設にはこの寄附型が設置されていることからもうかがえます。  我々は、いつ何どき被害に遭うか分かりませんので、当センターへの支援は不特定多数の県民の皆様に対する支援であり、支援先が特定されるほかの寄附型自動販売機とは区別が必要と考えます。県内各地にこの寄附型自動販売機が増えることで、長野県民である我々が犯罪被害者支援に関心を持ち、意識を向上させていく効果も期待しています。  そこで、質問します。  長野県警察犯罪被害者支援基本計画によると、犯罪被害者等の援助を行う民間団体に対する財政的援助の充実に努めるとともに、同団体の財政的、人的基盤の確立に向けて協力するとありますが、自動販売機の設置に際しては、犯罪被害者支援に対して関わりが深い警察施設だけでも、段階的に社会的な貢献度を加味できる総合評価方式を導入することを検討してはいかがでしょうか。総務部長に伺います。  次の質問に移ります。  最近、若い女性の皆様と出産、子育てについて話すと、私たちだけが苦労する。不安しかないと合い言葉のように話されます。若い女性の出産、子育てに抱く不安を安心に変え、子育ても社会全体で支援していける長野県であってほしいと願います。  そこで、出産前の妊婦が貧困状態にあったり複雑な家庭内事情を持っている場合、子供の養育に対する支援が必要な特定妊婦についてこども若者局長に2点質問します。  1、県内の特定妊婦の登録人数の現状について伺います。また、親に頼ることができない、出産に備えた居宅がないなどの家庭生活に支障が生じた特定妊婦とその子供を対象とした生活支援の県内の現状とさらなる充実に向けての県の取組を伺います。  2、令和6年度から特定妊婦等を対象とした訪問家事支援の事業や孤立する妊婦の生活支援事業が制度化されますが、本県においてもこれらのサービス整備を積極的に進めるべきと考えます。どのような方針か伺います。  次に、産後ケア事業の充実について質問します。  出産と子育てをめぐる環境変化が進む中、支援を必要とする妊産婦を早期に把握し、支援につなげていくことが求められています。また、近年は、新型コロナの影響で孤立する妊産婦が多いことから、産後鬱の診断を受ける方も増えており、本人だけでなく家族をも巻き込む深刻な問題となっています。  妊産婦の死因の1位は自殺であり、産後ケアは命に関わる重要な課題です。先日、実際に私が相談をお受けした事例ですが、赤ちゃんの夜泣きによるストレスと寝不足から体調を崩したあるお母さんは、育児に自信をなくし、行政の相談窓口にすがる思いで電話をしたそうです。しかし、返ってきた言葉は、このお母さんの育児を全否定する言葉ばかりでした。お母さんは深く心を痛め、後日、相談したことでもっとつらくなったと語っています。そして、重い産後鬱を発症し、何日も眠れず、食べられず、とうとう家族に「赤ちゃんは里子に出してください」と言い残し、自分の通帳の暗証番号をメモに記して自殺を図りました。幸い命を落とす最悪の事態は避けられました。しかし、御本人も御家族も心身共にぼろぼろになったと話されました。御家族も本人もそれぞれに病院や公的窓口に何度も相談の電話をしましたが、残念ながら気持ちに寄り添った対応はしてもらえず、事務的な対応ばかりで、たらい回しにされただけと感じたとのことです。とてもこの地域の産後ケアが充実しているとは思えない現状に危機感を持ちました。  3年前に山梨県の宿泊型産後ケア事業である産前産後ケアセンター「ママの里」を視察させていただきました。全国的にも珍しい県と県内市町村の共同体、山梨県産後ケア事業推進委員会から委託を受けて運営している施設です。そこは明るく清潔で、まるでペンションのようでした。浴室には石和温泉の源泉が引かれ、産後の心身のケアには大変効果的だと感じました。また、緑の木々に囲まれたオープンテラスには足湯があり、ママ同士の語り合いの場にもなっているそうです。  助産師を中心に、保育士、臨床心理士、リハビリの専門家がスタッフとして常駐しており、栄養バランスの取れた食事や24時間の託児ケア、助産師によるマッサージを通じて、産後の母親の体を休め回復を促すとともに、赤ちゃんの健やかな成長をサポートしていました。また、助産師、臨床心理士とのカウンセリングや保育士とのコミュニケーションを通して、育児に関する不安や悩み事も解決できます。  率直に大変羨ましく、温泉が豊富な本県にもこのような温泉つきの産後ケア施設があれば、妊産婦さんにとっても、そしてこれから結婚、出産を考えている若者にとっても、安心感は大きいだろうと感じます。女性と若者から選ばれる県を目指すのであれば、他県から注目されるような充実した産後ケア施設を長野県にもつくってほしいと願っています。  また、厚生労働省は、産後ケア事業を令和6年度までに全国展開することを目指しています。母子健康法も一部改正され、市町村における事業実施を努力義務化するとともに、出産直後から4か月頃までを、出産後1年へと対象期間を延伸しています。これによって対応に苦慮している市町村の現場も多いのではないかと推測します。  そこで、健康福祉部長に3点質問します。  1、産後ケア事業を行っている市町村の現場では、医療機関や助産師等の偏在から委託先の確保が課題になっていると聞きます。現場が抱えている課題の把握や市町村への支援はどのように行われているか伺います。  2、山梨県では、心身が疲弊している産婦のために温泉設備等も併設された宿泊型施設である産前産後ケアセンターが整備されており、県内各地から利用されていると聞きます。面積の広い本県では、通所型よりも産婦の移動負担が少ない宿泊型の産後ケア事業が特に必要と考えますが、本県の産後ケア事業における宿泊型支援はどのような状況にあるのか伺います。  3、妊産婦を取り巻く環境変化が進む中、メンタルケアを含めて、産婦や御家族の気持ちに寄り添った配慮ある対応をワンストップで行うことが必要と考えますが、県内市町村の産後ケア事業を充実させていくために県としてどのような支援を行っていくのか伺います。  次に、児童虐待防止対策について質問します。  令和3年度の児童相談所相談対応件数は約20万件と過去最高。全国では毎年70から80人の子供が虐待死している痛ましい状況です。児童虐待が起きてからの対応だけでなく、事案が起きる前に虐待を防止する対策がますます重要になってきます。  また、国では、令和6年度から親子再統合支援事業が制度化されることが決まっています。そして、保育所や幼稚園に通っていない小学校就学前の子供のうち、育児で困難を抱える家庭について政府が本格的に対策に乗り出すと発表しました。施設に通わない子供は無園児と呼ばれていますが、親子が孤立することで虐待などのリスクが高まるとの指摘があります。  一方、最近、新たな虐待として顕在化したのが、宗教2世が親から受ける児童虐待です。本年10月、政府は、宗教の信仰など、保護者の意図にかかわらず、言葉による脅迫、子供の心、自尊心を傷つける言動等の行為が行われた場合は児童虐待に該当すると明確に示し、子ども家庭局から市町村及び児童相談所に対して保護者の宗教の信仰に関連することのみをもって消極的な対応を取らずに、子供の側に立って判断すべきと通知されているところです。  そこで、こども若者局長に3点質問します。  1、児童相談所における措置解除の際の親子関係の再構築など、親子の再統合に向けた現在の取組と今後の見通しを伺います。
     2、子供の最善の利益のため、児童虐待の早期発見につながるよう、幼稚園、保育園、認定こども園などいずれの施設にも通っていない子供、いわゆる無園児の情報を把握する必要があると考えますが、御所見を伺います。  3、児童虐待の疑いがある事案に自治体として介入する際、保護者の信仰に関連することをもって消極的な対応がなされていないか伺います。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君) 寄附型自動販売機の設置についての御質問でございます。  寄附型自動販売機の設置につきましては、県庁舎において議員御提案の総合評価落札方式によりまして令和2年4月から今年度末まで3年間の試行を行っているところでございます。  これまで行った試行におきましては、NPO法人等が多くある中で特定の団体の目的を支援する寄附型自動販売機を設置することは公平性の観点で問題はないか。また、自主的に県が補助しているのと同じである中、直接団体を支援する方法と比べて寄附型自動販売機の設置による支援は寄附金のほかに寄附にかかる事務費等が発生しますので、費用面では効率が悪い点。さらに、これはPRの仕方によってということかと思いますが、導入前に比べて売上本数は増えておらず、啓発効果が上がっていないのではないかなどの課題が見えてきております。  改めて申し上げるまでもなく、犯罪被害者支援は県として大変重要な施策であるというふうに認識をしておるところでございます。警察施設の寄附型自動販売機の設置につきましては、今後試行結果や課題を分析し、課題解決に向けた方策、在り方について警察本部とも相談しつつ検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には特定妊婦への支援について2問、児童虐待防止対策について3問御質問をいただいております。順次お答えさせていただきます。  まず、特定妊婦の人数、生活援助の現状、さらなる充実に向けての県の取組についてでございます。  県内市町村において把握している特定妊婦の人数は、令和元年度末で239人、令和2年度末で275人、令和3年度末で347人となっています。特定妊婦に対しましては、市町村の要保護児童対策地域協議会において早期に把握し、市町村保健センター、保健所、医療機関など関係機関が情報を共有し、個々の困難な事案に応じて連携して必要な支援に当たっているところでございます。  加えて、県では、予期せぬ妊娠で悩む人を対象とした専用相談窓口「にんしんSOSながの」を設置し、出産や子育てへの不安を抱える当事者の気持ちに寄り添いながら、丁寧にニーズを聴取した上で必要な支援につなげたり、必要に応じて養子縁組や里親制度等の情報提供を行うなどを行っております。  また、経済的理由等により入院助産を受けることができない妊婦及び出産後に住居を確保することが困難な母子については、県福祉事務所または各市の福祉事務所がそれぞれ助産施設や母子生活支援施設に入所措置を行い、安心、安全に出産や子育てを行うことができるよう支援を行っているところでございます。  今後もこうした取組を引き続き実施するとともに、令和6年度から施行される改正児童福祉法により妊産婦等生活援助事業が国の制度として位置づけられることなども踏まえつつ、さらなる支援についても検討してまいりたいと考えております。  次に、特定妊婦等を対象とした訪問家事支援生活支援事業の早期着手について御質問をいただいております。  県では、家事や育児に不安等を抱える妊産婦、子育て世帯、子供に対する包括的な支援体制の整備を推進する市町村の取組を支援するため、子育て家庭支援体制構築事業を令和3年度から実施いたしております。  この事業のうち、妊産婦が対象となるものとしましては、出産前に支援が特に必要な妊婦がいる家庭などを訪問し家事支援などを行うための子育て世帯訪問支援臨時特例事業や、特定妊婦等に対して相談支援の実施や出産までの居場所の提供を行うための特定妊婦等支援臨時特例事業がありますが、現時点で、子育て世帯訪問支援臨時特例事業については5市町村が実施しておるところでございますが、特定妊婦等支援臨時特例事業につきましては実施を予定しているところはございません。  この要因といたしましては、自宅から離れた場所での支援を望む者が多く在宅支援のニーズがあまりないこと、また、本事業を使わずとも母子保健法や児童福祉法による既存の事業を活用して居場所支援や相談支援が行えていると認識されている市町村もあるというふうに承知をしております。  困難を抱える妊産婦が住み慣れた地域で孤立せずに安心して出産、子育てできるよう、今後、市町村に対して、県外の先行自治体の取組事例を紹介するなどにより本事業の一層の活用を促してまいりたいというふうに考えております。  次に、親子再統合に向けた取組についてでございます。  本県では、保護者からの虐待や不適切な養育により施設等に措置または一時保護し親子分離した児童について、措置解除に当たって円滑に家庭に復帰できるよう、県独自の取組といたしまして家族関係支援プログラムというものを導入しております。このプログラムでは、児童相談所と施設職員等が、措置児童の健康面や情緒面、保護者の心理的安定性などについてアセスメントを実施し、その評価に基づき自立支援計画を策定し、計画的かつ効果的に措置児童の家庭復帰や親子関係の再構築を図っております。  また、措置解除後も児童相談所が地域の関係機関と連携し、定期的な連絡や訪問、保護者への相談支援により児童の安全の確保に努めておるところでございます。  今後も引き続き家族関係支援プログラムに基づく取組を実施するとともに、令和6年度から施行されます改正児童福祉法により親子再統合支援事業が国の制度として位置づけられることなども踏まえながらさらなる支援についても検討してまいりたいと考えております。  次に、無園児の情報の把握についてでございます。  国では、児童虐待のリスクの高い子供を早期に発見し、支援につなげるため、未就園児等の子供に関する安全確認調査を平成30年度から実施することとし、全国の市区町村において毎年度継続的に調査を行っているところでございます。  具体的には、市区町村に住民票はあるが乳幼児健診等が未受診の場合や、未就園、不就学等で福祉サービス等を利用していないなど、関係機関が状況を確認できていない子供について改めて各市町村において把握し、目視等により安全確認を行うというものでございます。  令和3年度の本調査結果によれば、県内では未就園児等を含む確認対象となる児童は134名おりましたが、市町村による確認の結果、全ての児童について安全が確認でき、必要に応じて支援につなげることができております。今後も引き続きこうした調査による安全確認を行う必要があるというふうに考えております。  最後に、保護者の信仰に関連する児童虐待事案への対応についてでございます。  議員御指摘のとおり、児童虐待に関しましては、本年10月、いわゆる旧統一教会について社会的に指摘されている問題を受けまして国から通知が発出されており、児童虐待防止等に関する法律により、児童虐待と定義される行為を保護者が行った場合には、宗教の信仰など保護者の意図にかかわらず児童虐待に該当し得るものであるという基本的な考え方が示されているところでございます。  本県では、従来から既にこのような考え方に立ち、保護者の信仰に関連することのみをもって消極的な対応は取らず、常に子供の最善の利益を実現する立場から判断し、必要な対応をしてきております。今後もそうした対応を継続してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 私には産後ケア事業の充実について御質問を頂戴しております。  まず、産後ケア事業の課題の把握と市町村支援についての御質問でございます。  産後ケア事業は、お話がございましたとおり、令和3年度から母子保健法に基づき市町村の努力義務となったところでございます。出産後の母子に対して宿泊、通所または訪問により助産師等の専門職が心身のケアや育児に関する指導、サポート等を行うもので、現在本県では全ての市町村においてこの事業が実施されております。  県では、毎年、産後ケア事業の実施状況等を把握し、市町村へのフィードバックを行っておりまして、各地域の周産期関係者会議等において信州母子保健推進センターから利用状況や好事例の共有等を行うなど、事業の積極的な実施に向けて助言を行っております。  また、国が本年10月に実施し、今後公表される予定の産後ケア事業及び産婦健康診査事業等の実施に関する調査研究事業の結果も踏まえまして、さらに対象者に寄り添った事業となるよう情報提供等の支援を行ってまいります。  次に、本県の宿泊型支援の状況でございますが、24時間体制で助産師等が寄り添いサポートを受けることができる宿泊型支援は、御指摘のとおり産婦や乳児にとって移動負担が少ないというメリットがございます。  本県では、70市町村がそれぞれ助産所など複数の施設との委託契約により宿泊型支援を行っており、県内各地域で宿泊型支援を利用できる体制が整備されております。身近な施設でございますので、産後ケア事業の対象期間である産後1年未満のみならず、その後も長期にわたるフォローが可能であるというようなメリットもあると考えております。現在、宿泊型支援が未実施の市町村におきましても、産婦が利用できる産後ケアの選択肢が広がるよう活用事例の紹介等を行ってまいります。  最後に、産後ケア事業を充実させるための支援についてでございます。  県内市町村におきましては、子育て世代包括支援センター等が相談をワンストップで受け止めるとともに、身近な施設で産後ケア事業を受けることができる体制がおおむね整備されていると考えております。  県では、これまで、信州母子保健推進センターによる子育て世代包括支援センター設置の働きかけや研修会の実施等を通じて、市町村の母子保健事業の体制整備と人材育成の支援を行ってまいりました。  県内の産後ケア事業をさらに充実させていくためには、産婦や家族が安心して産後を過ごし、子育てができるよう、カウンセリングマインドをもって対応できる支援者を育成していくことが大変重要であると考えております。今後も、市町村保健師等に対して、妊産婦のメンタルヘルスに関する理解向上や相談者に寄り添った対応を行うための専門研修会の開催等により、引き続き市町村への支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔17番竹内正美君登壇〕 ◆17番(竹内正美 君) 御答弁いただきました。寄附型の自動販売機については、おっしゃるとおり効率はあまりよくないかもしれませんが、やはり誰もが手軽に支援ができ、そして、犯罪被害者支援についての意識の向上が期待できるという意味では意義が大きいと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  また、妊産婦や子供を取り巻く課題につきましては、数十年前のことに思いをめぐらしてみますと、昔は何となく親の介護は嫁の仕事というようなイメージがありましたが、今では介護は社会全体で行うものというふうにすっかり意識が変わってきたと思っています。  ただ、まだ子育ては母親がするものという意識はなかなか変化していないように感じています。子育ても社会全体で支援していける、そんな若者や女性、妊産婦さんに優しい長野県であってほしいと期待いたしまして、私からの質問の一切を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、丸茂岳人議員。       〔16番丸茂岳人君登壇〕 ◆16番(丸茂岳人 君) 県内中小企業のこれからについて伺います。  長野県の経済を支える基盤は中小企業にあります。2021年現在、企業数の減少傾向が続いており、様々な課題を抱えていると言われています。  中小企業庁の中小企業白書によると、日本の企業数は1999年以降減少傾向にあり、その中でも、中小企業・小規模事業者は1996年以降20年間で約120万社減少しているとあります。内訳を見ると、倒産の数は2008年以降減少傾向にあるものの、休廃業・解散が2006年以降高い水準で推移しています。  背景には、経営者の高齢化、後継者が決まっていないことなどが大きな理由の一つとして挙げられています。また、それに加えて、企業の強みである技能、技術の承継に関するコストや、近年注目を集めている環境配慮への必要性、働き方改革への対応など様々な変化への対応が課題となっていると考えられます。  今回は、こうした県内産業の中核を支える中小企業の現状と課題、また、今後我が県が力を入れて推進していくべき産業分野はどこにあるのか、海外展開の必要性、働き手の確保、イノベーションの意義についてなど幾つか質問をさせていただきます。  まず一つ目として、県内企業の抱える最大の経営課題はどこにあると考えるか。また、その声はどのように拾い分析につなげたのか。林産業労働部長にお伺いいたします。  次に、デジタル化への課題についてお伺いいたします。  官民共にデジタル化の必要性が迫られています。デジタル化を進めることで、管理業務の効率化や人手不足の解消、生産性向上につなげていくことが最大の目的ですが、デジタル化という概念が高齢の経営者には取っつきにくいものがあり、目の前の業務に追われ、対応が追いつかない実情もあるのだろうと推測されます。  前回の一般質問では人材投資について触れましたが、デジタル化も同じ状況であり、地方の中小零細企業といった必要なところほど進んでいないというのが実態であると思います。私も、地元の中小企業経営者から、資金や人が足りなくてなかなかデジタル化に取り組みにくいといった御意見を伺うことがあります。こうした声をいかに拾い、支援につなげていくのか。本来、民間のやることであるので限界があると思いますが、中小零細企業のデジタル化を前に進めることは、業務効率化の実現と生産性の向上、このことによる業績への好影響といったメリットが考えられ、県経済のプラスになると思いますが、林産業労働部長に所見を伺います。  次に、事業承継の現状と課題、また第二創業について伺います。  後継者不足による廃業は中小企業の大きな課題であり、対策を行わなければ貴重な経営資源や技術などが失われてしまうわけです。日本全体では2025年までに650万人の雇用と22兆円のGDPが喪失すると言われています。後継者不足の理由としては、労働人口の不足とともに、人材育成や事業承継の失敗などがあると考えられます。  また、日本には、より個人の意向を尊重するという家主体の概念があり、親族以外が事業を引き継ぐことへの抵抗が生まれ、親族でなければ事業承継が難しい実態があるようにも思います。  また、会社を次世代へと存続させていくためには、企業としての強みである技能、技術の伝承も必須となります。会社そのものが存続できなくなれば売上げや雇用がなくなり、そこから得られる税収がなくなるわけです。また、これまで培ってきた技能や技術も消えてしまうことになります。これが積み重なっていけば、国益の損失へとつながります。こうしたところに行政が介入する役割があると思います。  そこで、中小企業による事業承継の重要性を県はいかに認識しているか伺うとともに、県内の事業承継の実情と、県内の事業承継・引継ぎ支援センター、M&A相談のための補助金の活用は進んでいるのか、林産業労働部長にお伺いします。  また、事業承継後の第二創業までつなげていければさらなる企業の活性化につながると思います。第二創業は進んでいるのか、その現状と課題、成功事例について林産業労働部長にお伺いします。  次に、長野県が目指すべき先端事業は何かお伺いいたします。  県は、5か年計画の中で、生産性の高い産業の確立を目指し、航空機産業、先端医療分野に力を入れていくとしています。常に時代の先端を行く次世代産業を県内から後押しすることは大変重要であると思います。特に、製造業を中心に多くの雇用を維持している我が県にとって、末永く事業を継続し生産性の高い産業を育てることは、様々な恩恵もあると思います。  一方で、現実的かつ実現性の高い産業に絞っていくことも大変重要であると思います。航空機産業に関しましては、先日共田議員の質問でも触れておられましたが、先端医療分野のほか、これから育てていくべき産業で我が県の特性に合った産業はどういった分野なのか、現状の県のお考えを林産業労働部長にお聞きします。  教育機関、工業技術総合センターとの連携及び人手不足対策についてお聞きします。  先ほどの質問にも関連いたしますが、中小零細企業の弱点は、自社による研究課題の解決や、それを担う人材不足、資金不足にあると思います。仮に自社で発想やビジネスチャンスが生まれても、それをなかなか形に結びつけることができない。こうした弱点を、県内の教育機関とのマッチングや県の工業技術総合センターとの連携により、企業の研究開発にいかに寄与し、生産性向上に貢献しているのか、林産業労働部長にお伺いします。  私は、連携事業による成功例をどんどんと世に出し、世間に知ってもらうことで、そうした輪を広げていくことが重要だと思います。あわせて、人材不足の状況における人材マッチングの現状、企業のニーズに合ったマッチングが重要ですが、現状とコロナで見えた課題も含めた今後の方向性を林産業労働部長にお伺いいたします。  さらに、企業と学生とのマッチングにおいては、信州大学、公立諏訪東京理科大学など工学系学部の学生や大学院で学んだ学生に、県内の大手企業はもちろん、中小企業においてもやりがいのある仕事はたくさんあり、在学中からもっと地域企業との連携を推進していくべきと考えます。コロナ後には対面による企業での実習などが可能になると思われることから、コロナ後も見据えどのような取組が期待できるか。林産業労働部長にお聞きします。  また、場合によっては、自社でできない部分は県内企業のコラボレーションによる積極的なアウトソーシングにより製品化につなげる必要性を強く感じますが、県内企業間のアウトソーシングの現状はどうなっているのか。事例と併せ、林産業労働部長にお伺いいたします。  県外から働き手をいかに確保するかについてお聞きします。  これは、これまで多くの議員からも質問のあった大変大きな課題ですが、今だからこそできる取組も多々あると思います。これは外国人労働者も含めてですが、人材の確保ができないことで本来できるべき仕事ができなくなることは、大きく言えばGDPの減少、国や県にとっても税収減につながるわけです。  もちろん、資本主義国家ですから、民間企業への過度なサポートや援助は難しいですが、人材確保等の後方支援はもっと積極的に行っていいと思いますし、このことが税収につながるということを強く認識してもいいと感じます。  また、長野県は移住したい県として上位にあるわけですが、こうした観点と併せて、首都圏など都市部のみならず、他県においてどのように県内企業の紹介を行っているのか。また、県内出身者のUターン、さらにはIターン、Jターンといった県内企業に人材を呼び込む取組を一層推進することも重要であると思いますが、県が行っているUIJターン推進の取組と課題について林産業労働部長にお聞きします。  金融機関、商工会議所等の役割についてお聞きします。  株式上場していない中小企業は資金調達を金融機関に大きく依存している場合が多く、中小企業にとって経営は金融機関抜きには成り立たない現状があります。  また、金融機関は私企業でありますが、地域企業の末永い安定と生産性の向上に貢献するとともに、不況時や金融危機、先般のコロナ禍のような突発的な事態への対応と地域企業のケアなど公的な役割も担っています。前回の質問で八十二銀行と長野銀行の合併についてお聞きしましたが、信用金庫等を含め、特に現在のような緊急時には金融機関の役割は大変大きいものがあると考えています。また、商工会や商工会議所のような地域企業のよろず相談窓口のような役割を果たす機能も大変重要であると思います。  そこで、金融機関、商工会議所はどのような役割を担うべきか。県として望むことは何か。また、県として協力できるところは何か。どのような取組が地域企業に寄与すると考えるか。あわせて林産業労働部長にお伺いいたします。  次に、海外展開の必要性をどう捉えるかお伺いします。  人口減少、国内需要減少が明確に見えている中で、中小企業も新たな販路拡大のための海外展開が必要とされる時代になりつつあります。  また、中小企業庁の資料によると、海外進出を行っている企業とそうでない企業の生産性を比較すると、海外展開をしている企業のほうが生産性が高いという数字もあります。もちろん、無理に海外展開を目指すことが重要とは思いませんし、身の丈に合った経営がまずは重要と思いますが、今後さらなる拡大が見込まれるアジアや北米市場は大変魅力的なマーケットであることは間違いありません。地域企業が何らかの形で海外展開を図っていくことは今後の可能性が広がっていくことを示しているようにも感じます。  そこで、県として地域企業の海外展開の可能性と必要性をいかに分析しているのか。また、海外マーケットを魅力的に感じながら踏み出すことをためらっている地域企業に対し県行政としてどのように支援を行っているのか。また、課題は何か。林産業労働部長にお聞きします。  デフレマインドの脱却のためのイノベーションの需要についてお伺いします。  コロナ禍という緊急時からロシアによるウクライナ侵攻の問題、さらに世界的なインフレの中、日本はいまだに先進国の中で最低の政策金利を維持しており、様々な問題が経済環境を取り巻いています。もちろん、こうした状況を何とか乗り越えるために、国、県は様々な対策を取り、この危機を乗り越えつつあります。  一方で、短期的視点では国、県の支援は重要ですが、行き過ぎた補助金、過度な低金利ローンは中長期的視点では経済の健全性をゆがめているとの視点もあり、30年続くデフレマインドを助長させている可能性もあります。もちろん、これはアクセルとブレーキを同時に踏むような話で大変難しいと思いますが、どこかでこのデフレマインドから抜け出さないと、日本はいつまでも賃金上昇につながらず、経済の生産性が上がらないままになると思います。  このデフレマインドからの脱却には、価格転嫁から賃上げ、消費につながる好循環が必要ですが、私はこの課題への処方箋として、イノベーションにより新しい価値を生み出し、その価値を価格に転嫁することが有効だと考えています。しかし、イノベーションの源泉でもある日本の中小企業は今大変厳しい状況に置かれており、この技術が途絶えることは、日本全体にとって大変大きな損失となり、雇用、税収面から見て、今からイノベーションの波を起こしていかないと日本はアジアの中で本当に取り残されてしまうのではないかという危機感を覚えます。  そこで、県として適正な価格転嫁、賃金上昇につなげていくために、県経済の好循環を生み、高付加価値な製品開発を興すためのイノベーションの必要性をいかに考え、中長期的視野で、中小企業発のイノベーション創出のためには何が必要で、どのようなバックアップを行っていくべきと考えるか。阿部知事に御所見を伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 本県の中小企業の振興策について多岐にわたる御質問をいただきました。順次お答えいたします。  初めに、県内企業の経営課題の分析についてのお尋ねでございます。  県では、定期的に県内事業者から直接聞き取りを行う景気動向調査に加え、本年7月に附帯調査として経営課題等の把握に関するアンケート調査を実施し、376社から有効回答を得たところです。  県内中小企業が抱える中長期的な経営課題としては、人材の強化、採用、育成、多様化への対応が59.3%、収益性、生産性の強化が48.1%、技術力、研究開発力の強化が22.9%などとなっており、人材育成や収益構造の改善、技術開発が上位を占めています。このほか、国の景況調査、経済団体や金融機関等との情報交換などを通じて業況の把握に努めているところです。  次に、中小零細企業のデジタル化支援と、デジタル化による県経済への影響の所見についてでございます。  中小企業のデジタル化は、業務の効率化や生産性向上につながり、ひいては県経済のプラスになるものと認識しております。県では、令和元年度にAI・IoT等先端技術利活用支援拠点、長野県IoT推進ラボを設置し、専門コーディネーターによる相談対応、セミナー等によるデジタル技術の導入をサポートしてまいりました。これまでに3年間で延べ528件の相談対応をはじめ、導入のための実践的な研修、国や県の補助金による405件に及ぶサポートも行っております。  他方、AI、IoT等導入率の調査では、目標の50%に対し最新値では26.5%という状況でございます。中小企業ではデジタル導入を進めるための情報や人材が不足ぎみであり、今後も身近な商工団体とも連携し、サポート体制の充実を図っていく必要があると認識しております。
     さらに、本年11月には、信州ITバレー推進協議会にプロジェクト共創ネットワークを立ち上げ、地域のデジタルトランスフォーメーションを進めていく部会も設けました。今後、県内外のITベンダーのお力もお借りしながら中小企業のデジタル化を支援してまいります。  続いて、事業承継の現状と課題、第二創業について2点の御質問を頂戴しました。  初めに、事業承継の重要性の認識及び事業承継の実情等についてのお尋ねでございます。  後継者不足を原因とした廃業により、これまで培われた優れた技術やノウハウなど貴重な経営資源が失われることは本県産業にとって大きな損失であり、事業承継は重要な課題であると認識しております。県内の事業承継の実情につきましては、県内事業者に対する民間調査によると、約6割が後継者不在と回答しており、また、長野県事業承継ネットワークによる約1万社へのヒアリングでは、経営者の55.2%が承継に向けた具体的な準備ができていないとしております。  県産業振興機構に設置した事業承継・引継ぎ支援センターでは、金融機関、産業支援団体と連携してサポートしており、承継準備を促す事業承継診断の実施件数は約4年間で1万6,000件を超え、事業承継の計画策定等につなげております。さらに、親族内や社内に後継候補者がいない事業者に対し、第三者承継やM&Aによる承継支援も行っており、本年11月には、日本政策金融公庫等との共催により、県内で初めて、事業者が実名を公表し後継者を公募するマッチングイベント、リアルマッチングイン長野を開催したところです。  また、国の事業承継・引継ぎ補助金につきましては、県内においても活用が進んでおり、事業承継やM&A後の経営革新に向けた設備投資や販路開拓等に対する補助実績は、昨年度5件、今年度は17件が採択されております。  続いて、第二創業の現状と課題及び成功事例についてのお尋ねでございます。  経営者が入れ替わり、先代から引き継いだ事業を一新し新たな領域に挑む第二創業は、これまでの事業で得た人材や顧客、信用などを活用することができ、議員御指摘のとおり企業の活性化にもつながると考えております。県内における第二創業の状況を把握した統計はございませんが、国の関連施策の採択件数が増えていることからも、第二創業に対する認識度は徐々に上昇しているものと推測しております。  課題といたしましては、社員が新しい事業になじめなかったり、資金提供元の金融機関の理解が得られないなどの理由により、引き継いだ経営者が思い描く事業展開が容易に進まないというケースが聞かれております。  第二創業の成功事例といたしましては、家電や自動車向けの部品製造を引き継ぎ、新たに3Dプリンターを活用した金型製作サービスを展開している伊那市の企業、家業の製造業を引き継ぎ後、事業承継・M&Aプラットフォームサイトの運営を分社化した企業や、創業90年を超える老舗建築会社を、古木を使った店舗設計・施工などを手がけるサステーナブルビジネスへ発展させた企業などの事例がございます。今後とも、事業承継が円滑に行われるよう、事業承継・引継ぎセンターが中心となって、商工団体、金融機関とも連携して支援に努めてまいります。  次に、県が目指すべき先端産業についてのお尋ねでございます。  我が県の産業は、製糸業から精密機械、電気、輸送機械などの加工組立型産業へと柔軟に構造転換を進め、現在は様々な製品の省エネルギー化や情報通信機器等の小型、軽量、モバイル化、高性能化にも貢献する世界の部品供給基地へと発展してきております。各地域には、進取の精神と長年培ってきた高度技術等を持つ中小企業が集積しており、自動車やロボット、半導体関連等で高い世界シェアを誇る事例もあり、一層の発展が期待されるところです。  また、特定分野や特定大企業のみに頼らず、コア技術やニッチトップ製品を生かし様々なニーズに対応する、いわば八ヶ岳型のビジネスモデルは当県の強みと考えております。  そこで、現在策定を進めている長野県産業振興プランでは、製造業やIT、農林業、観光関連産業などが連携し、分野を超えたクロスイノベーションにより新しい価値を創造することを目指して、航空機やEV等の次世代モビリティーや在宅医療、フードテック、観光ツーリズム等の様々な分野への展開を支援してまいります。  次に、教育機関、工業技術総合センターとの連携及び人手不足対策について3点の御質問を頂戴いたしました。  初めに、人材や資金が不足する企業に対する支援についての御質問です。  中小企業において、自社のアイデアやコア技術を活用し、新たな価値を創造したサービスにつなげるためには、知財や技術の実証、資金調達、販路開拓など一貫した支援が必要と考えております。  こうした観点から、県産業振興機構や工業技術総合センターでは、県内大学等と連携しコンソーシアム型のサポートを行っており、例えば、諏訪地域の事例では、中小企業8社の結集により高機能部品等を世界の医療機器メーカーに供給することを目指す医療機器開発ネットワーク「SESSA」や、製造業24社と産総研、信州大学等が参画し、省力システムをオープンイノベーションで共同研究するDTF研究会、異業種25社と公立諏訪東京理科大学等との協働で再生可能エネルギーや水処理技術の開発を目指すSEE研究会などの取組が行われています。  中小企業が独創的なビジネスモデルを創造し成長発展していくためにも、各地域に産学官のエコシステムを構築していくことが重要と考えており、県産業振興機構や工業技術総合センターの機能を充実してまいります。  次に、現状とコロナ禍で見えた新たな課題、在学中からの地域の企業との連携促進、今後の取組についてのお尋ねをいただきました。  コロナ禍をきっかけに、オンラインでの企業説明会や面接等が一般的になり、求職者にとっては、居住地や企業の所在地を問わず、SNS等により就職情報を得ることが容易な状況となっています。地方回帰の大きな流れの中、県内、県外を問わず、企業の魅力を広く発信し人材を確保していくことが大切と考えております。  企業と学生のマッチングに関する特徴的な取組としては、公立諏訪東京理科大学が企業と連携した活動を行っており、学生がDXにより企業の課題を解決するコンテストの実施や品質管理等の課題に触れることで、大学で学んだ知識を生かし、課題解決に向けた研究活動につなげております。また、県の工科短期大学校では、地元企業から講師を迎えて新技術を学んだり、地域の企業と共同研究に参画するなど連携を深めております。いずれの取組も、地元企業の課題解決、人材育成に資するものと期待しており、こうした活動を通じ、地元企業への定着を促進してまいります。  次に、県内企業間のアウトソーシングの現状についてのお尋ねでございます。  県産業振興機構では、県内における受発注拡大や新規取引先開拓等を支援するため、受発注取引推進員を県内4か所に配置しているところであり、年間約1,300件のあっせん紹介を行っております。こうした中、新製品の開発の過程で、その一部を他の事業者にアウトソーシングすることで製品の高付加価値化につなげるケースもございます。  具体的には、3Dプリンターを活用する金型製造事業者がデジタルモード技術を有する中小企業へアウトソーシングすることで、従来の金型と比較して製造コスト及び工数が低減し、複雑な形状のニーズに対応できる新たなモールド金型を開発した事例、県内の中小企業3社がそれぞれ得意とする技術を持ち寄ることで医療用昇降装置の試作に成功し、量産化につながった事例などがございます。  このほか、産業振興機構では、複数の企業等が参画する研究会を組成し、オープンイノベーションによる技術面のアウトソーシングやパワー半導体の研究開発などを進めており、今後ともこうした取組を通じ、新製品、新サービスの創出支援に努めてまいります。  次に、県外からの働き手確保に関連して、他県での県内企業の紹介、UIJターン推進の取組と課題についてのお尋ねです。  県では、移住相談会を、3大都市圏での開催に加えオンラインでも実施しておりますが、その際に、信州暮らしの魅力と併せて県内企業のPRも行っております。また、本県の移住総合ウェブメディア「SuuHaa」により県内企業の情報を発信しているところです。  このほか、プロフェッショナル人材戦略拠点と連携し、銀座NAGANOに県内企業を招いて、オンラインとの併用によるハイブリッド形式でのマッチングイベントを開催し、県内企業の紹介を行っております。  特に、学生に対しては、県内企業との出会いの場を設けるイベントの実施や、インターンシップへの助成を行うなど、県内企業への就職につながるように取り組んでいるところです。また、県外59の大学と協定を締結し、Uターン就職促進に向け相互に連携協力して取り組んでいます。  さらに、UIJターン就業・創業移住支援事業を実施し、東京圏、愛知県、大阪府から県内に移住し県内企業に就職した方を対象に支援金を支給しているところです。  なお、課題でございますが、現在、県内の有効求人倍率は10月末で1.59倍とコロナ前の状況まで回復する一方、特に建設業や製造業を中心に人手不足が顕著となっており、ミスマッチの解消など一層の取組が必要と考えているところです。  次に、金融機関、商工会議所の役割についてのお尋ねでございます。  金融機関は、顧客に対して各種の金融サービスを提供し、商工会議所等は地域内における商工業の総合的な改善発達を支援するとともに、社会一般の福祉増進に努められております。また、両機関は、コロナ関連の経済対策や物価高騰対策に関連して、例えば、認定経営革新等支援機関として中小企業の補助金等の申請サポートに御尽力いただいているところです。  金融機関はこれまで培った事業評価能力を、商工会議所等は地域に根差したネットワークを生かし、資金繰り支援を通じた事業の継続や、事業再構築、コスト削減といった環境変化への対応支援、創業や事業承継といった新陳代謝を促す支援、小規模事業者に寄り添った経営支援など連携した取組が期待されておりますし、引き続き地域経済の活性化に寄与されていただけるものと受け止めております。  県といたしましては、商工会議所や商工会の広域化や高度専門化など支援体制の充実や、中小企業融資制度資金などによる金融機関の円滑な資金の供給に協力しているところです。今後とも商工会議所、商工会等の産業支援機関や金融機関と連携して県内の産業振興の発展に努めてまいります。  最後に、地域企業の海外展開についてのお尋ねでございます。  令和2年12月末現在で、県内の製造業1,136社が44か国に進出しており、県ではこれまでもジェトロ等の協力を得ながら海外へ駐在員を配置し、海外進出や貿易のために必要な実務等の相談、情報提供、販路開拓支援など県内企業の貿易投資振興に努めてきたところです。  今後、人口減少によって国内需要の縮小などが懸念される一方、人口増加により市場の拡大が期待される海外へのビジネス展開により県内への利益還流を促すことは、地域経済の発展にとって重要であると考えております。  中小企業におきまして、海外市場を魅力的に感じながらも踏み出すことをためらう理由でございますが、高齢化に伴う現状維持思考や当面安定したビジネス環境などが考えられるところでありますが、県では、産業振興機構にグローバル展開推進員を配置して相談対応に当たるとともに、海外展示会への出展を後押ししているところです。  なお、課題としましては、事業者の心理的ハードル、社内の人材不足や海外ビジネスの情報不足等がございます。中小企業が海外ビジネスに果敢に挑戦していただけるよう、ジェトロなど関係機関とも連携し、引き続き支援してまいる所存です。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には産業活性化の観点でイノベーションに関連して御質問をいただきました。イノベーションの必要性をどう考えているのか、また、中長期的視野で中小企業発のイノベーションを創出するためには何が必要なのか、また、どうバックアップしていくべきなのかという御質問であります。  まず、丸茂議員の御質問にも言及がありましたように、日本の経済は非常に足踏み状態が長く続いております。デフレ経済の中でなかなか賃上げが進まない。そうしたもののベースになるイノベーションが活発な経済発展を遂げている国々と比較すると非常に低調ではないかというふうに思っております。  御指摘のとおり、積極的なイノベーションを起こしていくことによって新しい価値を生み出し、そうしたことを企業利益に着実につなげ、それを賃金の上昇、ひいては消費の拡大につなげる経済の好循環をつくっていくことが私も重要だというふうに考えております。  中小企業のイノベーションを創出していく上では何が必要なのかということでありますけれども、幾つか考えなければいけない課題があると思います。  まず一つは、人材の側面ではないかというふうに思います。これは、教育にも関連いたしますけれども、人から教えてもらったことをそのまま無批判に受け入れるということだと全くイノベーションは起きないというふうに思います。新しい発想、チャレンジしていく前向きな精神を持った人材がまず不可欠だというふうに思います。  また、こうしたことを実現していく上では、各企業の経営の基盤が安定していなければいけないと思いますし、イノベーションの種を実際に具現化していくための高度な技術力、そしてそうしたものを支える資金力というものが必要であります。加えて、新しい価値を生み出してもなかなか実際の市場で評価されないということがあってはいけませんので、そうしたことを考えると、マーケティングの側面も重要だというふうに考えております。  中小企業の場合は、大企業と比べて、今申し上げたようなことをフルセットで保持するのはなかなか難しいというふうに考えております。であるからこそ、まさに行政としての支援や企業間の連携、産学官の連携、こうしたものが重要になると考えております。  県としては、こうしたことをバックアップしていくために、まずITをはじめとするクリエーティブ人材の育成確保にこれからますます力を入れていかなければいけないと思いますし、企業が技術面での革新を起こしていっていただくことができるように、工業技術総合センターをはじめとする技術面での支援も、体制整備も含めて強化していかなければいけないというふうに思います。  加えて、スタートアップ・承継支援ファンドの立ち上げによりまして資金支援の枠組みもつくってまいりました。こうした単なる融資ではなくて新しいことにチャレンジする取組に対する資金支援も充実していかなければいけないというふうに思っています。加えて、新しく設立した産業振興機構においては産学官の連携を進めてきておりますし、また、経営や技術開発から販路開拓まで一貫した支援を行ってきております。こうしたことを通じて中小企業の取組をしっかり応援していかなければいけないと思います。加えて、大学や高校等の教育を通じて、人づくりという側面も重要だというふうに考えております。  今申し上げたような観点で一定程度のことをやっていますけれども、本当に世界と戦えるイノベーションにつながるレベルかというと、まだまだ我々としても改善すべき点がたくさんあるというふうに思っておりますので、引き続き世界の大きな経済の動きの中で長野県の企業が発展していくことができるように取り組んでいきたいというふうに思っています。  加えて、今後は製造業やIT、農林業、観光関連産業と様々な産業が連携する分野を超えたクロスイノベーションにも取り組んでいきたいというふうに思っています。こうした取組にも産学官の力を結集して施策化、具体化を進めていきたいというふうに思っております。  これからの価値の源泉であるイノベーションを長野県の中でどうやって起こしていくか企業の皆様方と一緒に考え、必要な支援を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔16番丸茂岳人君登壇〕 ◆16番(丸茂岳人 君) もろもろ御答弁いただきました。  日本の企業には、これまで培ってきた技術の積み重ねと勤勉性、メード・イン・ジャパンが世界を席巻したという自負があると思います。こうした自信を再び取り戻すには、世界で戦っていける製品開発を全面的に支援する動きも必要だと思います。  先日、日の丸半導体の新会社としてラピダスの設立が発表されました。今後多くの分野でこうした動きが起こることを期待するところです。  日本の技術を守り、育てることは、国益に直結するものです。一部では大企業が先頭になるかもしれませんが、それを支えるのは多くの中小企業の技術であることは間違いありません。そうした企業を県としてもできる限りの支援を行っていくことは、県経済を支え、県民の暮らしに直結すると思います。  今後の日本は弱っていくような話が蔓延している時代ですが、日本にはまだまだ可能性があると信じています。そして、我が県においては、小さいながらもきらりと光る技術がきら星のごとく輝いている、そんな長野県の中小企業をしっかりとバックアップしていただくことを期待いたしまして、一切の質問を終えます。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君) 日本共産党県議団の毛利栄子です。新型コロナウイルス感染症対策につきまして知事並びに健康福祉部長に伺います。  新型コロナウイルス感染症が急増し、新規陽性者は、11月23日に4,328人という爆発的な多さとなりました。人口10万人当たりの新規陽性者数では、12月8日現在全国6番目、確保病床使用率も、11月14日に医療非常事態宣言を発出して注意を促しているものの、12月4日には70.8%とこれまた全国トップレベルとなり、確保病床以外でも347人の入院を受け入れ、懸命の対応をしていただいていますが、厳しい状態が続いており、関係者の御苦労には本当に頭が下がります。死亡者数も高齢者を中心に増えており、現在524人となっています。亡くなられた皆さんに心からお悔やみを申し上げます。  知事は、重症化リスクの高い人を中心に、救える命が救えないことのないように取り組むとされ、基礎疾患のある方、65歳以上の方を中心に対応に注力されています。医療機関が逼迫していることは理解しますが、問題は、高齢者施設などでクラスターが広がったり感染者が出ても施設内での療養を余儀なくされ、入院できないまま命を落とされる高齢者がいるということです。  オミクロン株は重症化リスクが低く、比較的軽症だと言われてきましたが、7波になって亡くなる方の数は急速に増え、特に、10月末からのほぼ1か月間で全体の4分の1を占め、11月は10月の死者数の4.4倍と急増しています。  国が推進してきた施設内療養ですが、21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会の調査によると、全国の特別養護老人ホームや養護老人ホームの5%近い施設で施設内療養中に亡くなった入所者がいるとのことです。医療機関につながらないまま命を落とすことはあってはならないことです。  県は、第7波の発生状況と対策の振り返りを公表し、9月25日までの状況を明らかにしていますが、それ以降現在までの高齢者施設でのクラスターの発生状況、施設内療養の状況、高齢者施設内での死亡者の状況についてお示しください。  また、そもそも高齢者施設は生活の場であって医療の場ではないことから、施設内療養の該当職場では、保健所からの指導も受け懸命に対応しているものの、職員も感染し、もう限界だとの声が上がっています。無理があると考えますが、原則施設内療養とする現在の方針を見直すことや、施設内療養を続けるとすれば現状の支援策をさらに強化することが求められると思いますが、健康福祉部長、いかがですか。  県では、現在54の医療機関に531床のコロナ病床を確保していますが、確保病床に対する使用率が7割を超し、介護現場のみならず医療機関も逼迫し、懸命の努力の中、疲労こんぱいの状況が続いていると伺っています。  コロナ禍で高度急性期・急性期の治療に当たる病院の役割が再認識されてきています。知事は、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に努めると言われていますが、国が進める地域医療構想の下、2015年から2021年の6年間で高度急性期・急性期の病床数は1,447床も減っています。これほどまでに病床数が減っていなければコロナ対応がより十分にできたのではないかと思われますが、病院の機能転換が果たしてどうだったのか、検証が求められていると思います。知事の見解を伺うとともに、感染症がこれからも形を変えて蔓延することも懸念されます。これ以上は高度急性期・急性期のベッド数は減らさず、充実することこそ必要だと思いますが、知事の所見を伺います。  県内のコロナの陽性者数は既に33万人を超え、県民の16%が感染したことになります。これからの季節、インフルエンザの流行の可能性も指摘されており、発熱外来をはじめますます医療が逼迫することが懸念されます。徹底した換気や手洗い、消毒、マスクの着用を実行するとともに、ワクチン接種の促進と大規模な検査の実施が求められているのではないでしょうか。  小学生から64歳以下は、基本的に抗原検査キットによる自己検査が推奨されております。体調が悪化してから購入するために出かけるわけにはいきません。加えて、購入する場合でも、注意事項を聞いたり書類を書いたりと、お金も時間もかかります。身近に薬局のない地域もあります。  そこで、県として全世帯規模で検査キットの無償配付をするなど、抜本的な対応を検討していただきたいと思いますし、薬局等での無料の一般検査を12月31日で終了するのではなく、延長すること、年末年始での臨時検査拠点の設置などを求めますが、いかがでしょうか。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 新型コロナウイルス感染症の高齢者施設での施設内療養について御質問を頂戴しております。  9月26日以降12月7日までの間に高齢者施設で発生いたしましたクラスターは266件でございます。また、県内には入所型の高齢者施設が1,350施設ございますが、施設内療養はそのうち321施設で行われております。  また、施設での死亡につきましては、現在、高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケア体制の構築を進めております。そのため、近年施設や御自宅でみとりが行われるケースもかなり増加している状況でございますが、コロナによる死亡者について申し上げますと、発生当初から令和4年12月7日までに公表した死亡者516名のうち、施設内で療養中に亡くなられた方は76名確認されております。  施設内療養につきましては、令和3年10月25日付の国の通知により、入院が必要ない場合は施設内療養が可能とされたところであり、また、病床逼迫時には患者受入れ病院に過度の負担をかけないためにも必要であると考えているところでございます。  施設内療養を行う高齢者施設への支援につきましては、これまでクラスター発生時における感染管理認定看護師の派遣や抗原定性検査キットの配付、保健所等による相談や助言等を行ってきたほか、11月28日には、施設内での重症化予防をさらに進めるため、抗ウイルス薬投与等に係る研修会を開催したところでございます。  また、施設内療養に要する経費や従事する職員の超過勤務手当等につきましては、施設種別ごとに上限額を設けて定額で補助しているところでございますが、さらなる支援としてその上限額を原則2倍にする予算案を今議会に提出しており、支援を一層強化してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 新型コロナに関連して大きく2点御質問をいただきました。  今も医療現場、介護現場で御尽力いただいている従事者の皆様方に改めて私からも感謝と敬意を表したいと思います。  まず、病院の機能転換と急性期病床の充実についてという御質問であります。  本県は、現在1万9,000床余りの病床を有しているところでありますが、今後2025年にかけて本県の人口は194万人まで減少し、後期高齢者の割合も20%まで上昇という見通しであります。どんどん御高齢の方が増えて、いわゆる現役世代が減少するという大きな流れになっております。  こうした人口減少、そして人口構造の変化に伴って医療の在り方もしっかり見直していかなければいけないというふうに思います。重篤な病気や手術に対応する急性期病床の必要性は減少してきている一方で、リハビリや長期療養のための回復期・慢性期病床の増加が必要だという状況の中で、医療資源を適正化するための機能転換の取組が行われてきているわけであります。こうした取組は今後とも重要だというふうに考えております。  他方で、コロナ対応につきましては、本県の場合は公立・公的病院を中心に担ってきていただいております。新たに県立病院機構の病床もさらにコロナ対応を増やしていくということで予定しているわけでありますけれども、こうした機能については、今回のコロナ禍の教訓も踏まえ、今後とも充実強化していく必要があるというふうに考えています。  次期医療計画の策定に当たりましては、各地域の中核的な病院を中心に、災害医療と同じような観点があります。どのような感染症になるか分かりませんので、その段階でしっかり柔軟かつ的確に対応していくことが必要であります。平時から感染拡大時に転用できる病床を確保していくことと併せて、専門人材の養成などの取組を進めていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、新興感染症等の感染拡大時に医療機関の連携、役割分担の下で適切な対処を行うことができるように取り組んでまいります。  続きまして、今後の検査キットの配付、それから年末年始における検査拠点の設置等について御質問をいただきました。  現在のオミクロン株の流行下におきましては、若くて基礎疾患がない方はほぼ重症化することがないという状況で、そうした方には、体調不良時の自己検査、そして陽性の場合の軽症者登録センターへの登録の呼びかけを行わせていただいています。これは、外来診療に過度な負荷がかからないようにという観点でお願いをしているところであります。  検査キットについてでございますけれども、8月31日からインターネット販売も開始されているところでありますので、県としてはあらかじめ各自で御購入いただくようお願いしているという状況であります。  その一方で、これまでも、重症化リスクが高い方が多い高齢者施設等や低所得の方など必要性の高い方に対しては無償で提供させていただいておりますほか、外来診療逼迫時には診療・検査医療機関からも無償で配付いただくこととしているところであります。  また、年末年始に向けましては、必要な方が検査を受けることができるよう引き続き対策を検討してまいります。なお、年末年始の帰省時の対応としては、長野駅及び松本駅前に臨時の検査拠点を設置して無料検査を行っていきたいというふうに考えております。また、薬局における無料検査でありますけれども、現在12月末までが国との間の期限になっておりますが、これは延ばしていただかなければいけないというふうに思いますので、延長をするべく国と協議していきたいと思っております。  引き続き必要な検査、必要な対応ができるように、またコロナの感染状況も見極めながら適切な対応を行っていきたいというふうに考えております。  以上です。
          〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君) 無料検査の延長や主要駅等での検査を実施していただくということで、そのことについては歓迎いたします。  昨日の知事答弁で、陽性者数に占める死者数の割合は、第5波までの1.08%、第6波の0.16%に比べて第7波は0.12%と低くなっているとのことですが、問題は率ではなく、いかにして亡くなる人を少なくするかではないでしょうか。  そのためには、感染を広げないための陽性者の早期把握と隔離、必要な医療が迅速に適用されることが必要だと思います。大阪府では、抗原検査キットの配付を、9歳以下の子供がいる家庭に、個人もしくは保育所、学校などから申込みを受けて行っており、既に60万件の注文があると聞きます。緊急事態なので、先ほどの御答弁のような限定的な対応ではなく、大規模な検査が手軽にできるよう検査キットの無償配付など実情に即した対応を求めます。  次に、県営住宅に関する諸問題について建設部長に伺います。  公営住宅は民間の賃貸住宅に比べて低廉な家賃が設定されており、住宅に困窮する低所得者にとって入居がしやすいため、住宅セーフティーネットの役割を果たしています。従来、県営住宅の入居に際し連帯保証人をつけることを求めていたため、その保証人を引き受けてくれる人が見つからずに入居申込みができずに困っている方々が少なからずおりました。  今回、県営住宅条例改正案が提案され、保証人が撤廃されることは歓迎しますが、敷金3か月分については見直しがありません。民間では既に敷金を徴収していないところも出ている中で、県として敷金の見直しの議論はどのように行われたのでしょうか。所得の低い方々にとって、入居時にかかる費用も負担になっています。敷金は廃止していただきたいと思いますが、いかがですか。  次に、名義人が死亡もしくは離婚などでいなくなった場合の入居者の承継について伺います。  承継は、長野県の場合は障がい者などの特別扱いはあるものの、原則配偶者のみとなっています。親子3人で住んでいた方が、母親が亡くなり、その後名義人の父親が亡くなったため、親子間承継が認められず、住み慣れた住宅を退去するよう言われて困っているなどの例もあります。どこかに出て行くように言われても、今の家賃と同じ低廉な条件で住めるところはありません。  住まいは人権であり、自分の責任に属さない理由で出なければならないのも理不尽ではないでしょうか。自治体によっては子や孫まで広げているところもあります。長野県としての承継の枠を広げる運用をしていただきたいが、いかがでしょうか。  県営住宅プラン2021では、2030年には県住の余剰が2,000戸出ると推計し、低層住宅を中心に管理戸数を減らし、用途廃止をしていくとしています。入居者が1軒もいなくなり除却対象になっている団地が幾つも出てきていますが、除却が進まず、背丈ほども伸びた草や木が大きく茂り、治安や景観の上でも支障が出て、近隣の住環境を悪化させている例が散見されます。建設事務所などでも除草に御努力いただいていますが、用途廃止となった住宅の管理と除却スケジュール、跡地利用についてどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、ケアリーバー支援についてこども若者局長に伺います。  児童養護施設や里親家庭で育ち、進学や就職を機に施設などを離れるケアリーバーと呼ばれる若者への支援の在り方が改めて問われています。社会的養護の下で育った若者は、従来原則18歳、最長でも22歳で施設を退所し、自立することを求められてきました。しかし、親など身近に頼れる人がいないために、退所後、生活費や学費を工面できず、社会生活の知恵がないまま1人になり、相談相手もいない中で挫折や孤立するなどの問題が指摘されてきました。  6月に成立した改正児童福祉法では、2024年4月から年齢制限を撤廃し、施設などが自立可能と判断したときまで継続入所できるようになり、年齢制限の緩和は関係者の悲願であっただけに、歓迎されております。長野県内の児童養護施設で18歳を超えて入所している若者の実態についてお聞かせください。また、高校等を卒業するなどして施設を退所した者についての退所後の進路状況、課題について伺います。  また、平成27年4月1日以降、ルートイングループからの寄附金を活用した飛び立て若者奨学金給付事業がスタートし、月額5万円の給付があるわけですが、給付実績はどうなっているでしょうか。生活費が続かず大学等を中退する学生も少なからずいるとのことです。給付の停止についても伺います。  厚労省の調査は、施設や里親を通して調査票を配ったとのことですが、住所が不明といったことから、本人に送付できたのは対象の僅か35%にとどまったとのことです。このことは、施設退所後の支援がほとんどされていないことの反映でもあると思われますが、長野県では退所者の暮らしぶりの把握や一人一人の状況に応じた継続支援はどのようにされているのか伺います。  今年、長野県社会福祉協議会や児童福祉施設連盟、株式会社レントライフ、NPOホットライン信州など6団体が社会的養護出身の若者サポートプロジェクトを立ち上げて、アパートの確保などの居住支援、何でも相談、就労支援などに乗り出しました。  社会的養護から巣立った若者との支援ルートが、施設だけの単線からネットワークとして広がろうとしていることは、ケアリーバーにとって重要な支援となる取組だと思いますが、県としての評価と関わり方について見解を伺います。  国は、20年4月から、退所前後の一人一人に寄り添った支援を強化するため、施設が自立支援担当職員を配置できるようにしました。しかし、人材確保が難しいことや、個々の施設に余裕がないため配置が進まないと聞いています。措置費の増額が必要ではないでしょうか。現状と強化方向について伺いたいと思います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には県営住宅に関して3点御質問をいただきました。  まず、県営住宅の敷金の検討経過に関するお尋ねです。  今般の連帯保証人の見直しを検討する中で、まいさぽをはじめ、住宅、福祉の審議会委員など有識者から敷金の在り方についても御意見をお聞きしてきました。有識者からは、生活に困窮し、一括で納めることが困難な場合があるという御意見の一方、敷金を廃止すると退去時の負担が大きくなるなどの御意見もいただきました。こうした意見を踏まえて検討した結果、現行制度を維持しつつ、まいさぽの自立支援事業を受ける入居者には分割納付を認めることとしたところです。  次に、入居名義人が死亡した場合などの承継に関するお尋ねです。  県営住宅は、住宅確保が困難な方へのセーフティーネットとしての機能を有することから、限られた戸数を真に住宅を必要とする方に提供する責務があります。そのため、承継できる方は原則として配偶者としていますが、高齢者や障がい者等特に居住の安定が必要な方についても承継を認めており、引き続き個々の事情を丁寧に把握して適切に対応してまいります。  最後に、用途廃止した県営住宅団地の管理に関するお尋ねです。  用途廃止とした県営住宅は、他の用途での活用などを検討した上で、利用見込みがないものから順次除却しております。除却までの間は施錠を徹底し、周辺の防犯や住環境保持の観点から随時見回りを実施するなどの管理を行っています。  また、最近の跡地活用としては、市町村産業用地や学校法人の認定こども園敷地としての売却実績があり、引き続き有効活用を図ってまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私にはケアリーバー支援について五つ御質問をいただきました。  まず、施設に18歳を超えて入所している若者の実態とケアリーバーの進路状況と課題についてでございます。  児童福祉法においては、児童養護施設等入所者のうち進学や就職をした者の生活が不安定であったり障がいや疾病等の理由により進学や就職が決まらない児童など継続的な養育を必要とする者については、自立して生活できるめどがないまま措置解除をすることのないよう、満18歳を超えて満20歳に達するまでの間、引き続き措置を行うことができるとされております。  県内の児童養護施設では、定時制高校等に在籍していたり障がい者グループホームへの入所調整に時間を要しているといった理由により満18歳を超えて入所している者が、令和3年度末時点で11名おります。  また、本年3月に高校等を卒業して県内の児童養護施設を退所した若者は33名おり、その進路状況につきましては、大学等への進学者が11名、就職者が16名、その他グループホームへの入所者等が6名となっております。  児童養護施設退所後の若者につきましては、頼れる大人が身近にいないケースが多いため、不安や悩みを相談できないまま生活苦に陥ったり、離職や退学に追い込まれるといった課題を抱える可能性があると考えており、各施設では、退所後も継続して相談に乗るなど、個々のニーズを踏まえた柔軟かつ丁寧な支援を児童相談所など関係者と共に連携して行ってきているところでございます。  次に、飛び立て若者奨学金給付事業の給付実績についてでございます。  県では、児童養護施設や里親等へ入所・委託措置されていた児童が保護者からの経済的支援を受けられないことを理由に大学等への進学を諦めることがないよう、ルートイングループ等からの寄附金を活用した飛び立て若者奨学金により入学一時金及び生活費を支援しているところでございます。  当該奨学金制度を創設した平成27年度以降、合計66名に対して給付しており、そのうち卒業した者が30名、現在受給中が23名、休学により停止中の者が1名、中途退学により支給を取りやめた者が12名という状況でございます。中途退学の理由につきましては、勉学意欲の喪失や人間関係の悩み、進路変更とお聞きしているところでございます。  次に、ケアリーバーの暮らしぶりの把握や継続支援についてでございます。  児童養護施設等を退所する際には、児童相談所において、面談等による本人の意向確認、施設や地域の支援者との支援会議などを行い、安定した就学や就労に結びつくように丁寧に対応しているところでございます。  また、施設退所後は、児童養護施設においてアフターケアが必要な児童の住居や就業先を訪問し、悩みや問題を抱えている場合には助言をしたり、就学・就労先等の関係機関に退所者の状況等を説明し理解を求めにいくといった丁寧な対応を行ってきており、県では、こうした対応結果について定期的に報告してもらうことで退所者の状況把握に努めているところでございます。  退所児童にとっては、悩み事を一番相談しやすいのは施設であり、児童と信頼関係ができている施設職員が相談支援を行うことが効果的な自立につながるものと考えております。県といたしましては、退所者のアフターケアを行う施設等の活動費や人件費を補助することで施設の取組を後押ししてまいります。  次に、社会的養護出身の若者サポートプロジェクトに対する県の評価と関わり方についてでございます。  自立に向けて入所等措置を解除された児童は、日常生活や金銭管理、進学先や就職先での新しい人間関係の構築などに関する様々な悩みや不安に直面する可能性があり、その支援には、入所施設や児童相談所だけでなく、様々な機関が関わっていただくことが重要であると考えております。  そうした中で、今般、社会的養護出身者の仕事や住まいなどに関する包括的相談支援と支援のための社会資源の開発を行うことを目的として、長野県社会福祉協議会など6団体によります社会的養護出身の若者サポートプロジェクトが立ち上げられたことに関しましては、民間団体等様々な機関の協力を得た幅広い支援体制が構築されるということにつながり、支援の充実に向けた非常に有効な取組であると考えております。  県では、本プロジェクト立ち上げ前から県社会福祉協議会からお話をいただいており、関係機関への周知等に協力をしてきたところでございます。今後も引き続き本プロジェクトと連携いたしまして、ケアリーバーの支援の充実に取り組んでまいります。  最後に、自立支援担当職員の配置の現状と支援強化の方向性についてでございます。  現在県内にある14か所の児童養護施設のうち6施設において自立支援担当職員を配置し、退所後にアフターケアを必要とする者の職場や自宅を訪問するなどして相談支援に当たっていただいているところでございます。  各施設に対して来年度の予定を調査したところ、さらに3施設が新たに配置すると回答いただいており、来年度からは9施設において自立支援担当職員が配置される予定となっております。あわせて、配置を予定していない施設に聞き取りを行いましたところ、国の措置費制度で定める支援対象者数や支援回数の要件を満たすことが困難であるということや、支援スキルを持った職員を配置できないといった課題もあるというふうに承知をいたしております。  県におきましては、こうした課題に対応するため、今後、施設職員を対象とした研修において既に自立支援担当職員を配置した施設における支援事例の共有、医療や福祉に関する各種制度の周知、研修を通じ支援スキルの向上を図るとともに、自立支援担当職員に係る措置費制度の改善についても国に対して要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君) 過日、児童養護施設にお邪魔させていただいて様々なお話を伺ってまいりました。一時保護を含めて、入所者の中で被虐待児が8割というお話を伺いました。職員の皆さんがその子たちに寄り添いながら一人一人に心を砕き、頑張っておられる様子を伺い、本当に頭が下がる思いでありました。  低賃金、物価高、コロナ禍の中で、児童養護施設を離れた若い皆さんが孤立して悩み、挫折することなく、困ったときには「ただいま」と安心して帰ってこられるようサポート体制が一層充実発展する長野県になることを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君) この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時44分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(髙島陽子 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小林あや議員。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君) 小林あやです。  初めに、文化芸術振興について質問します。  文化は、楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらすなど、人間が人間らしく生きるための糧であります。また、高い付加価値が多くの産業を支えているだけでなく、国境や言語、民族を超えて人と人の心を結びつける力があり、ここから生まれる互いの理解や尊重は、社会基盤の形成や世界平和に深く関わるものです。  文化芸術は、芸術家や文化芸術団体、また一部の愛好者だけのものではなく、全ての人が真にゆとりと潤いを実感できる心豊かな生活を実現していく上で不可欠なものであり、社会的財産であると言えます。  本県における主要な文化芸術振興策の一つとして、本年度からスタートしたアーツカウンシル事業が挙げられますが、これは、行政から一定の距離を置く中間支援組織として活動団体等への助成と相談、助言をセットにした支援体制との認識でおります。長野県の文化芸術を発展させていくために信州アーツカウンシルにどのような役割を期待しているのか、阿部知事に伺います。  首都圏など人口の多い地域を拠点にしているアーティストは、練習場所の確保に苦労するケースが多いと聞いています。一方、地方での練習場所を探そうとしても、例えば、空き校舎はあっても耐震化が不十分である等の課題も多く、拠点探しに難航する事例もあるようです。  本県において、練習場所やアーティスト・イン・レジデンスなど長期滞在を視野に入れた環境を提供できれば、文化芸術振興だけでなく、地域振興にもつながると考えますが、アーティストが長期滞在できるような環境の整備について県民文化部長に見解を伺います。  通常、アーティストたちは、安心してパフォーマンスを成功させるために信頼のおける仲間とチームを組みます。ということは、質の高い文化芸術を信州に根づかせ、それを地域振興にもつなげていくためには、アーティストを支える大道具や舞台の設営など文化芸術に関連する専門的技術を持った企業やスタッフを地域に根づかせていく必要があるということです。県としてこうした担い手の定着などをどのように考えていくのか、今後の方向性について県民文化部長に伺います。  現代の若者は、感情を表出すること、気持ちを他者に伝えることが苦手な場合が多く、感情を表に出せる環境や悩みを忘れて何かに打ち込める環境が必要と考えます。高校生向けの授業の一環として、文化芸術に触れたり、自己表現として何らかのパフォーマンスを行ったりする機会があればよいと考えますが、県の取組状況について教育長に伺います。  さて、今週は障害者週間です。従来は本日12月9日が障害者の日でした。本県では、全ての県民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら、支え合い、生かし合う社会の実現のため、障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例、障がい者共生条例をこの10月に全部施行しました。  東京パラリンピック開会式での芸術的なパフォーマンスに感動した方も多いと思いますが、障がい者が文化芸術に親しみ、自信や生きがいを持てるようになるには、障がいの有無を超えたインクルーシブな環境が必要だと考えます。  しかし、共生社会づくりに向けて、障がい者が文化芸術に親しむための取組を実施するに当たっては、障がい者の移動手段や障がい者が取組に参加するための環境整備といった様々な課題を解決する必要があります。こうした課題を解決するためには、障がい者が文化芸術に親しむことについての機運醸成を図ることや、取組を様々な面から支える人材を育成することが必要と考えますが、健康福祉部長の見解を伺います。  文化芸術に関する県の委員等について、女性が占める割合はどのぐらいでしょうか。また、こうした役割を担ってもらう女性の積極的な起用を図るべきと考えますが、県民文化部長の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には信州アーツカウンシルに期待する役割という御質問をいただきました。  御質問でも触れていただいたように、これからの地域社会において文化芸術の役割は非常に大きなものがあるというふうに思っています。まさに物の豊かさから心の豊かさに県民の皆様方の価値がシフトしている中でこうした心豊かな社会を実現していくためには、この文化芸術が盛んであることが重要だというふうに思いますし、また、教育の分野でも、STEM教育からSTEAM教育ということで、科学技術系の教育にあえてアートが加えられているように、地域をクリエーティブな地域にしていく、イノベーションを起こしていくといった観点でも芸術文化の力はこれからますます重要になってくるというふうに考えています。  そういう意味で、文化芸術の振興に力を入れていきたいと思っておりますが、この文化芸術の分野は、我々行政が直接関わるには向かない分野であるというふうに思っています。何よりも個性が最大限尊重されなければなりませんし、公平性や中立性など既存の価値観にかかずらわっていては本当の文化芸術の力は発揮できないというふうに思います。そういう意味では行政的な管理に委ねることには向かない分野だというふうに思っています。  こうした観点から、この信州アーツカウンシルは、我々県行政とは一定の距離を保ちつつ、専門スタッフを配置して大学や民間の文化財団など様々な主体の参画により設置していただいたところであります。  この信州アーツカウンシルに期待することでありますけれども、地域が主体となった文化芸術活動を持続的に発展させていただきたいというふうに思っています。そのためには、地域における文化芸術活動の創造力と発信力を高めていくこと、文化芸術活動のポテンシャルを社会の様々な領域に広げていくこと、さらには県内の文化芸術活動が持続的に発展する環境を醸成していくこと、こうした大きく三つの役割を期待しているところであります。  6月の設立以降、文化芸術活動を行う21団体への助成と伴走支援、そして伝統芸能の継承といった地域課題の解決、さらには県内の30名を超える学芸員の皆様方との共同による美術展「シンビズム」の開催など、地域やアーティストとの共創により順調に事業を進めていただいているものというふうに受け止めております。  県としては、これからも信州アーツカウンシルの主体性を最大限尊重しながら、運営やその取組に対して必要な支援を行い、地域に根差した文化芸術の振興に共に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君) 私には文化芸術振興について3点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  初めに、アーティストが長期滞在できる環境整備についてでございます。  アーティストが本県に滞在して練習や創作活動、発表を通じて地域とつながりを持つことは、文化芸術や地域振興の観点からも意義が深いことというふうに考えておりまして、例えば、セイジ・オザワ松本フェスティバルにつきましては、松本地域の皆様に愛されて30年の歴史を重ねていると認識しております。  県といたしましても、これまで、地域の資源を生かして様々なアーティストの制作滞在を支援いたしますアーティスト・イン・レジデンスに取り組んでまいりました。このうち、昨年度県が支援を行いました北アルプス国際芸術祭では、36組64名のアーティストが地域に滞在して創作活動を行い、コロナ禍にありましても3万人を超える県内外の皆様に作品を鑑賞いただくとともに、4億円に及ぶ経済波及効果を生み出したと伺っておりますし、既に令和6年に3回目の開催が決定されているというふうに伺っております。  また、信州アーツカウンシルでは、「ナガノオーガニックエアー」としまして、今年度県内8地域で事業に取り組んでおりまして、地域の空き店舗や集会所として使っていた既存の施設を創作活動や発表の場として活用し、アーティストの皆さんの長期滞在を支援しております。  今後も、信州アーツカウンシルや市町村と連携いたしながらアーティストと地域を結びつける橋渡しを行いますとともに、アーティストが地域に滞在して創作活動ができるよう受入れ環境づくりを進めてまいります。  次に、アーティストを支える技術を持った担い手の定着などについてでございます。  アーティストの公演や発表には舞台や大道具などの設営技術者が携わっておりまして、裏方としてその活動を支える大切な存在であるというふうに思っております。  県では、県立文化施設におきまして、舞台設営技術の質を落とさないよう、施設の舞台設営を担当する職員の確保育成に取り組んでいく必要があると思っております。このため、施設の指定管理者であります文化振興事業団とともに、中学生、高校生に舞台設営技術の面白さを知ってもらうための職場体験学習を実施するほか、事業団職員の技術向上のため、研修の受講や現場でより多くの経験を積む機会を設けるなど、人材の確保育成に努めているところでございます。  また、県内の文化施設におきましては、アーティストを支える技術者の不足や技術習得の難しさという課題を抱えているというふうにも伺っておりますので、今後は、文化振興事業団をはじめ県内の文化施設を運営する皆様とも意見交換を行いながら、担い手育成の方向性について検討してまいりたいというふうに考えております。  最後に、文化芸術に関する県の委員等における女性の割合と女性の積極的な起用についてでございます。  文化芸術に関して常設の審議会等はございませんが、今年度は、現在策定を進めております次期文化芸術振興計画に関して御意見を伺うための有識者懇談会を設置しております。この懇談会は、文化芸術の専門家、施設運営者、活動の実践者などで構成しておりまして、9名の構成員のうち女性は3分の1に当たる3名となっており、県の審議会等委員の女性割合の目標には届いておりません。今後は、女性を積極的に起用しながら目標の達成に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕
    ◎教育長(内堀繁利 君) 授業の一環としてパフォーマンスを行う機会への取組状況についてのお尋ねでございます。  高校では、教科の授業やホームルーム活動をはじめ、部活動や文化祭、課題研究発表会等生徒が自己を表現する機会が様々にありますが、中には自分の考えや思いをうまく伝えることができず、自分を表現することに苦手意識を持つ生徒もいると認識しております。  県教育委員会では、一人一人の生徒が安心して心を開き、素直な自分を表現して豊かな学校生活を送れるよう、例えば数名の生徒が互いの発言を尊重し、傾聴しながら自身の考えを深めていく哲学対話の普及を目指し、ワークショップを開催しております。哲学対話に取り組んだ学校では、自己表現が苦手な生徒も自分の気持ちを他者に伝える心地よさを学ぶ機会になったとの報告を受けております。  また、地域に根差した探究的な学びの充実を目指し全高校で取り組む信州学において、表現活動を取り入れている学校があり、例えば、梓川高校では、外部の有識者を介し、地元の満蒙開拓団経験者のつらく悲惨な体験を語り継ぎたいという願いを具現化しようと、戦争体験を紙芝居にまとめ、文化祭や平和関連イベント等において発表しております。最初は小声で発表していた生徒も、回数を重ね、聴衆から高評価を得るにつれて堂々と発表できるようになったとのことでございます。  さらに、音楽の授業で外部講師を招き、ミュージカルをつくって発表している学校や、演出家の指導の下、即興劇を取り入れたワークショップを行っている学校もあり、このような多様な生徒たちがそれぞれの個性に応じて自己を表現できる機会をこれからも大切にしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 障がい者が文化芸術に親しむ機運の醸成や支援人材の育成について御質問をいただいております。  障がい者が文化芸術に親しむ機会を拡大するためには、障がい者の文化芸術活動に対する県民の理解や関心を高め、その活動を応援する機運の醸成を図ることが重要であると認識しております。  県では、障がい者福祉センター「サンアップル」におきまして文化芸術祭や文化系の発表会を開催するなど、障がいのある方が創作活動の成果を発表する機会を提供し、障がい者の文化芸術活動に対する県民の理解促進を図っております。  また、本年6月には障がい者芸術文化活動支援センターを設置し、相談支援、支援人材の育成、信州アーツカウンシル等と連携した関係者のネットワークの構築、発表の場の創出支援等に取り組んでおります。  特に、支援人材の育成につきましては、障がい者一人一人の個性や能力を理解し創作活動を適切に後押しする専門的な知識や能力を有するスタッフを福祉現場に増やすため、福祉事業所の職員を対象としたセミナーを実施しております。  文化芸術活動は、障がいのある方の人生を豊かにするとともに、発表の機会を通じて地域社会との交流や相互理解を促進する重要な機能を有しております。県といたしましては、障がい者の文化芸術活動の機運の醸成と様々な文化芸術活動を支える人材の確保育成に努め、共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君) 信州学という言葉がありましたが、探究の学びというものは、パワーポイントでの発表だけではないと常々感じております。梓川高校の紙芝居は大きな反響を呼びましたが、私は企画段階から関わっていました。学生たちが次第に真剣なまなざしへと変わっていく姿が印象的でした。現場の先生からパフォーマンス導入の提案があった際は、管理職の方々は前向きに実現の可能性を探るスタンスであってほしいと願います。  文化芸術は、人々の心を解きほぐし、街に明かりをともします。ぜひ本県の文化芸術が末永く発展していくことを期待して、注視したいと思います。  次に、県内の交通政策について質問をします。  高速移動手段として、新幹線、空港、近い将来はリニアも挙げられます。松本―新宿間は特急で約3時間ですが、飯田―品川間のリニアが開通すれば約20分程度と推測でき、松本―飯田間の高速バス45分をうまく乗り継ぐことができれば、松本―品川間は1時間半を切ることができるようになります。また、松本空港福岡便の早割プランを利用すれば、新幹線を乗り継ぐよりも安く移動できるのです。  このように、新たな移動手段の持つ可能性を踏まえると、県内公共交通網整備の一環として、高速バスからの各種交通手段への接続についても利便性向上を図るべきと考えますが、企画振興部長の見解を伺います。  また、県内で運行されている各種バスの時刻表やリアルタイムの位置情報、バス発車後の空席情報などを、運行会社の違いを超え、ホームページ等を用いて確認しやすくすることは、利用者の利便性向上につながると考えますが、こちらも企画振興部長の見解を伺います。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 県内の交通政策について2点お尋ねをいただきました。  まず、高速バスと他の交通手段との接続についてお答えします。  広大な県土を有する本県において、高速バスは地域間を結ぶ移動の軸として重要な役割を担っているところです。この高速バスと他の交通手段を切れ目なく接続させることによって様々な移動のニーズに応えることができるものと認識しております。  こうしたスムーズな接続を実現するためには、増便による運行本数の増加、乗り継ぎを考慮したダイヤ設定、キャッシュレス決済の導入などに取り組むことが重要と考えております。高速バスの利便性が向上するよう事業者へ取組を促すとともに、県としても事業者の御意見をお伺いしながら、利用促進をはじめ必要な支援を行ってまいります。  2点目でございます。バス情報の分かりやすい情報提供についてお答えします。  鉄道に比べて複雑で分かりにくいと言われるバスに関する情報を利用者に分かりやすく伝えることは大変重要であると認識しております。  各バス会社では、ホームページやSNSを活用して運行情報を積極的に発信しているほか、県では観光交通アプリ「信州ナビ」により交通案内や路線バスの位置情報を提供しております。  一方、現在多くの利用者は、こうしたホームページなどに加え、インターネットの経路検索サービスや地図情報サービスを通じて交通に関する情報を入手しているところです。そのため、県では、今年度、これらバスに関するデータの充実に取り組んでおります。これにより、インターネットの経路検索サービスなどを通じ、目的地までのふさわしい移動手段、料金、時刻といった情報が一元的に入手可能となる見込みです。  今後も、公共交通の利便性が向上するよう、事業者と共に利用者ニーズに応えた情報提供に取り組んでまいります。  以上です。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君) 県内を走る高速バスでも潜在客を取り込むための変革は必要ですし、また、飛行機は高いという無意識の刷り込みからの脱却も必要なのではないかと感じています。交通アクセスの利便性が向上すれば、人、物、情報が集まり、地域の発展、にぎわいにつながります。今後の進捗を注視していきたいと思います。  以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、大井岳夫議員。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君) 自民党県議団、大井岳夫です。通告に従い順次質問いたします。  初めに、子供の命を守るための対策について質問します。  本年のまだ残暑の厳しい9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で、3歳の幼児が送迎バスに5時間にわたって置き去りにされ、熱中症で命を奪われるという大変痛ましい事故が起きました。当日は、バスの運転手が休みで、旧理事長が急遽運転し、同乗した女性派遣職員も臨時だったとのことで、園児が降車した後、2人は車内を確認することを怠っていました。発見時、幼児は上着を身につけておらず、指には傷の跡、水筒は空だったとのことです。  昨年7月にも、福岡県において5歳の幼児がバスに9時間も放置され、熱中症で亡くなりました。いずれも一人バスに取り残され、いつもと違う状況にパニックとなり、暑さでもうろうとする意識の中、助けを求めてもがき、泣き叫んだことと思います。助けが来ないまま恐怖と絶望の中で命を奪われたであろうことを想像すると、胸が締めつけられる思いであり、ただただ御冥福を祈るばかりです。  事故を受けて行われた会見での園関係者の発言からは、大切な命を預かっているという認識が欠如しているとしか思えず、強い憤りを覚えると同時に、子供たちの命を預かる大人として、そして議員として、何をしなくてはならないか、何ができるかを問いかけられた思いがしました。  バス置き去りによる幼児死亡事故は、その都度全国的なニュースとなり、注意喚起がなされているにもかかわらず、なくなることがありません。ただ、二度と同じような事故を当県においても発生させてはなりません。そのような思いより、質問します。  県においては、これまで子供の命を守る安全対策にどのように取り組んできたのでしょうか。事故を受け、国においては、幼児の送迎バスに無線LANやブザーによる置き去り防止装置を設置義務化する方針を打ち出していますが、県においては安全確認の徹底などにどのように取り組んでいく考えか、こども若者局長に伺います。  バス置き去り事故のほかにも、パチンコ店や大型商業施設の駐車場で車内に幼児が取り残される事故が後を絶たないことから、警察はビラを作成するなどの注意喚起を行っており、施設においても利用者への呼びかけがなされています。  消費者庁は、毎年子どもの事故防止週間を設けていて、年度ごとにテーマを決めて防止対策を呼びかけています。近年、高層マンションからの幼児の転落死が後を絶たないことを受け、本年度は「転落・墜落事故に気を付けよう」、昨年度は「水の事故に気を付けて!」、一昨年度は「家の中の事故に気を付けましょう」と呼びかけられています。  本年度の「転落・墜落事故に気を付けよう」では、大人用ベッドやソファ、ベビーベッド、椅子やテーブル、階段、ベランダなどといった家庭内でのケースから、外でのベビーカーや公園の遊具利用時まで幅広く注意ポイントが示されて注意喚起がなされていますが、恥ずかしながら私はこの週間の存在を今まで知りませんでした。  毎年7月25日は「世界溺水防止デー」と宣言されています。溺死は、子供、そして若者の死因の上位10位以内に入っており、日本では、厚生労働省人口動態調査によると、ゼロ歳から1歳では、「子供は静かに溺れる」という言葉があるとおり浴槽での溺死、より活動的になる5歳以上では自然水域での溺死が最も多く発生しています。このように、ありふれた日常生活の中にも、子供への危険は潜んでいる。いや、危険と隣り合わせであると言えます。この危険をいかに避け、対策を講じるかが保護者、社会の責務であります。  そこで、国や地域の未来を担う子供が不慮の事故によって命を失うことについてどのように受け止めているでしょうか。また、県において、子どもの事故防止週間とタイアップし、定例会見などで独自のメッセージをもって子育て世代に注意喚起し、防止対策を講じていくという具体的なアクションによる運動を展開すべきと考えますが、いかがでしょうか。阿部知事に伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には子供の命を守るための対策について御質問をいただきました。  まず、安全対策に関するこれまでの取組についてでございます。  保育所等における子供の安全対策については、保育士等に対し事故防止に係る研修を実施するとともに、各保健福祉事務所が年1回行う事業運営に係る指導監査の中で、睡眠中や食事中の事故防止対策や遊具等の設備の点検の実施の有無などの確認を行ってまいりました。さらに、県庁及び保健福祉事務所に配置いたします保育専門推進員などが保育所等を巡回し、安全対策を含む保育の技術的助言や相談に応じてきたところでございます。  次に、送迎バスの安全確認の徹底など事故を受けた今後の取組についてでございます。  本年9月に静岡県で起こった送迎バスの置き去り事故のように、本来守られるべき、そして守ることのできた子供の命が失われるといったことはあってはならないことでございます。今回の事故後、県では、送迎バスを運行している保育所、幼稚園等を対象に、緊急に乗車時、降車時の人数確認の有無、バス内の見回りの実施の有無など緊急点検の実施を依頼しました。点検の結果、不備のあった施設を含む全ての施設に対して、年内をめどに順次実地調査を行っており、自己点検結果と改善結果の確認を行うとともに、必要に応じてさらなる改善を促してまいります。  あわせて、バス運行の安全管理に関する課題や対策について県や市町村同士で意見交換を行う場を設け、安全管理の徹底方法など実例を交えて情報共有をしたところでございます。  今後は、バスの安全装置等の設置や登園管理システム等の導入を支援するとともに、ヒヤリ・ハット事例や人為的ミスを防ぐための取組事例を収集して情報共有をしたり、定例的な指導監査においてバス通園に係る安全管理の徹底を継続的に確認してまいります。  こうした取組を通じ、送迎バスの置き去りによる痛ましい事故を起こさないといった強い決意の下、市町村と共に全ての保育施設等における送迎バスの安全管理を徹底し、子供が安全、安心に過ごせる環境づくりに全力で取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には子供が不慮の事故で命を失うことへの受け止めと具体的な取組について御質問をいただきました。  人口動態調査によりますと、昨年は全国で156件子供の不慮の事故があったと報告されています。私も、こうした事故の報道に接するたびに、多くの皆様方も同じ思いだと思いますけれども、どうして防げなかったのだろうかと胸が潰れる、引き裂かれる思いでいっぱいであります。  こうしたことに対しまして、我々行政としてもできるだけのことをしっかり行っていかなければいけないというふうに思います。  例えば、先ほど局長からも答弁申し上げましたように、今回静岡で起こった送迎バスの置き去り事故、今後送迎バスへの安全装置の設置を応援していこうと思っていますけれども、国が何かをやらなければ県も何もやらないということであってはいけないと思っておりますので、本県におきましては、送迎バスを運行している全保育施設等を対象に緊急点検を行いました。また、年内をめどに実地検査を順次行うなど、安全確認及び必要な改善指導を行ってきたところであります。加えて、こうしたことと並行して、市町村の皆様方とも意見交換を行わせていただき、安全管理の徹底方法の共有などを行ってきているところであります。  今後は、定例的な指導監査において継続的にバスの安全管理を確認し、安全管理の徹底を図っていきたいと考えております。そういう意味で、ハード面のみならず、ハード、ソフト両面相まって子供の安全を守っていかなければいけないというふうに考えております。  ただ、この不慮の事故は、今はバスの置き去りの話を申し上げましたけれども、転落であったり溺死であったり様々な事故があるわけでありますので、単発の取組だけではこうしたことを防ぐことはできないというふうに思っております。これまでも、例えば、乳幼児健康診査で事故防止の啓発等を行う市町村の保健師の皆様方に対する研修の実施や保育施設における子供の安全対策に対する研修の実施、対策状況の確認、さらにはパチンコ店等の大型商業施設等への子供の車内放置防止のためのチラシの配布など、場面に応じた取組を市町村や警察とも連携しながら行ってきているところであります。  今後は、全ての保育施設等の送迎バスの安全装置の早期の設置を支援するなど、子供の安全を守るための対策は着実に進めていきたいと思っておりますし、また、御提案がありました毎年7月の子どもの事故防止週間ですが、ぜひこの週間を十分に生かして注意喚起を行っていきたいというふうに考えております。これは、県だけでは訴求力が弱いので、でき得れば市町村にも御協力をいただきながらより有効な注意喚起となるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君) 先ほど子どもの事故防止週間について触れました。これまで、県においては、これらの注意喚起をホームページに掲載するとともに市町村へ注意喚起を行っているとのことでありますが、これは、平成30年度の厚生労働省の母子保健課調べという調査なのですけれども、子供の事故予防対策の実施状況という問いに対して、具体的には、事故防止のための安全チェックリストを使用した普及啓発活動を行っている割合が、全国の31.4%に対しまして長野県は40.3%ということで9ポイント上回っている状況ではありますが、それでも半分以下しか具体的な対策という形になっていないという現状が見てとれます。  やはり、大切なことは、一番伝えたい子育て世代にどの程度子供の事故を防ぐために伝えたい情報が届いているか、そして、そのことを数値からも意識して実践に移していただくべく、これからも意識しながら取り組んでいただきたい旨を要望いたします。  子供の命を守るという視点からの質問をしましたが、先日も、静岡県で3人の保育士が園児を逆さづりにする、カッターで脅すといった保育現場にあるまじき暴行をしたことが明るみになり、逮捕されました。今回の暴行は内部告発によって公になったものの、もう少し告発が遅れていたらどうなっていたでしょうか。子供が自分の意思を伝えられるようになるには相当の時間を要します。だからこそ大人は子供の表情や言動からのサインを見逃すことなく、家庭や保育の現場、そして社会全体で子供を育み、守っていかなくてはなりません。子供の命を守り、愛情を持って育む、県においてはその環境整備に一層力を入れていただくことを要望し、次の質問に移ります。  次に、県土強靱化推進に向けて質問します。  本年9月、近年頻発化する豪雨などの影響により、ダムへの土砂の流入に対して掘削除去が追いついておらず、洪水調整機能の低下が懸念されているとの報道がありました。堆砂が増えると、これは砂がたまるということですが、ためられる水量、洪水調整容量が減少し、ダムの治水機能が低下するという内容です。  下流域の安全、安心のために、ダムによって災害が防げるようにとの思いにより、時に住まいの移転を伴うなど住民の理解を得て、多くの年数、予算をかけ、多くの関係各位の御苦労の上に建設されたダムだからこそ、その機能が損なわれることなく、保全、延命に努めていかなくてはなりません。  そこで、1として、県が管理しているダムのうち計画堆砂量を超過しているダムはどの程度あるでしょうか。  2として、今後、堆積土砂の除去やダムを迂回して土砂を下流に流すバイパス工事をどのような計画で進めていくか。  3として、除去・残土処理場の確保なくしてはダムの堆積土除去、河川の河床のしゅんせつ、狭窄部掘削はスムーズに進まないと考えます。しゅんせつを担う事業者が処理場所を確保するには限界がありますし、個々の市町村においても、地形などの理由からまとまった残土を受け入れるには困難も予想されます。そこで、県において、各圏域に最低1か所残土処理場を設置するなどの対策を進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。  4として、国が行っている河川のしゅんせつと、残土を築堤に生かすといった処理と活用が一体となった工事を県においても可能な限り推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上4点を建設部長に伺います。  5として、河川のしゅんせつにより発生した残土を可能な限りかさ上げなどの農地整備に活用していくべきと考えますが、これまでの取組と今後の方針について農政部長に伺います。  6として、県は佐久市において遊水地を建設する計画を示していますが、河川に堆積した土砂のしゅんせつを加速化させれば遊水地の建設は必要ないのではないか。また、遊水地の建設によりしゅんせつのペースが落ちるのではないかという懸念が地域住民から示されています。このような声に対し丁寧な説明が必要と考えますが、いかがでしょうか。  最後に、7として、近年、建設業に従事する技術者不足が深刻な状況にあります。建設業に関しては、単に個々の企業の存続のためだけではなく、今後も県土の強靱化を担う意味でも、また、令和元年東日本台風災害をはじめ、近年頻発化、激甚化する自然災害から県民の生命、財産を守る意味からも、若い技術者を確保していくことは、県、市町村にとっても極めて重要な課題であると認識しています。  そこで、建設産業における技術者の年齢構成や人材確保の現状、課題をどのように認識しているでしょうか。また、地域を支える建設業検討会議等での意見交換を通じ、現在実施している就労支援に加え、建設業界が人材確保のために行うべき方策として何を望んでいると認識しているのか。以上2点について建設部長に伺います。  最後に、長野県立武道館の利用者増加に向けて質問します。  2020年3月26日、多くの関係各位の御尽力、御理解の下、長野県立武道館が佐久の地にて開館しました。  整備に当たってのコンセプトは、1、本県の武道振興の中核的拠点となる施設、2、大規模大会が開催できる施設、3、多目的に利用できる「選ばれる」施設、4、県民に愛され末永く使われる施設であり、設備においては、柔道場3面、剣道場3面のほか、柔・剣道場が6面設置可能な主道場は、ステージも設置されていることから、コンサートなど多目的に活用することができます。2階の観客席は1,500席、1階スペースにも観客席を設ければ最大で約3,000人収容可能であり、首都圏など大都市に行かなくても人気アーティストのコンサートなどが県内にいながらにして鑑賞できると大きな期待が寄せられています。  武道館開館に合わせたこけら落としイベントの一つとして予定されていた大相撲の巡業は、残念ながら新型コロナの影響により中止となってしまいましたが、これまで、指定管理者による自主事業として、武道の全国規模の大会、スポーツ大会のほか、自衛隊ふれあいコンサート、さだまさしさんコンサートなどが行われ、県内外から多くの方に御来館いただきました。  以上を踏まえ、質問いたします。  県立武道館が今まで以上に多くの方が集い、より魅力的で親しまれる施設となるためにも、自主事業として魅力ある多様なイベントを計画的に開催すべきと考えます。  開館以来、新型コロナウイルス感染拡大により自主事業は計画的な開催に至っていないと受け止めていますが、これまで自主事業はどのような方針で行われてきたのでしょうか。また、県はどのように関与してきたのでしょうか。  さらには、アフターコロナを見据え、これまで行われてきた武道やスポーツの大会に加え、今後どのような自主事業などを実施していく考えでしょうか。以上を教育長に伺います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には6点質問をいただきました。  まず、ダムの堆砂状況についてのお尋ねでございます。  県管理の17ダムについて、洪水調節機能に支障はないものの堆砂が計画堆砂量を超過しているダムは、令和3年度末時点で、松川ダム、裾花ダム、奥裾花ダム、湯川ダム、片桐ダムの5ダムとなっております。  次に、ダムの堆砂対策についてのお尋ねでございます。  計画堆砂量を超過している松川ダム等の五つのダムの堆砂対策については、堆砂の進捗状況によりそれぞれ必要な対策を講じています。  松川ダムにおいては、平成28年に土砂バイパストンネルが完成し、下流域の堆砂状況をモニタリングにより監視しながら運用を行っているほか、裾花ダム及び奥裾花ダムにおいては、同様のバイパストンネルの実施に向け、令和2年度から実施計画調査に着手しております。  また、湯川ダム、片桐ダムにおいては、現在、緊急浚渫推進事業債を活用してダム湖内に堆砂した土砂の撤去工事を実施しております。
     今後も、ダムの堆砂状況を定期的に把握し、必要な対策を講じてまいります。  次に、残土処理場の確保についてのお尋ねでございます。  しゅんせつ工事等における残土については、公共事業への活用や、市町村が所有する処理場等に搬出しておりますが、近年、県土強靱化を進めるため、積極的に堆積土砂の撤去を行っており、処理先の確保が重要な課題となっております。  このため、昨年度、建設事務所ごとに設立した建設発生土受入地地域連絡会において現在残土を一時的に保管できるストックヤードの候補地を選定する作業を進めているところであります。  今後もダムや河川でのしゅんせつや掘削を円滑に進めるため、市町村の協力をいただきながら残土処理場を確保できるよう努めてまいります。  次に、残土の処理と活用が一体となった工事についてのお尋ねでございます。  公共工事により発生する建設残土は、リサイクル原則化ルールに基づき可能な範囲で積極的に利用することになっており、議員御指摘の処理と活用が一体となった工事は、コストの縮減の意味からも有効な手段と考えております。このため、県のしゅんせつ工事の一部においても、しゅんせつ土砂を活用し、築堤工事を実施しております。今後も、処理と活用が一体となった工事や、公共工事、民間工事での利活用により、建設残土の有効活用を図ってまいります。  次に、佐久市の遊水地建設と河川のしゅんせつに関するお尋ねでございます。  佐久市で計画している桜井遊水地は、令和元年東日本台風で浸水被害が生じた滑津川、田子川、谷川など千曲川支川の河道拡幅による千曲川本川への流下流入量増加分を貯留し、下流への影響を解消することを目的に整備するものです。  一方、河川のしゅんせつは、護岸や橋脚への影響が及ばないよう配慮しつつ、川の流れを阻害している堆積土砂を撤去し、その河川が本来有する流下能力を確保することを目的に実施しております。したがいまして、佐久地域はもとより、流域全体の安全を確保するためには、遊水地整備としゅんせつをそれぞれ計画的に実施する必要があると考えております。  こうした内容につきましては、これまでも桜井遊水地に関する説明会等に際し地域の皆様に御説明してきたところですが、今後も地域の皆様に御理解いただけるよう丁寧な説明に努めてまいります。  最後に、建設産業従事者の現状と人材確保についてのお尋ねでございます。  県内の建設業従事者の年齢構成は、60歳以上が3割を超える一方、29歳以下の若手は1割に満たない状況で、産業全体と比べても高齢化が進んでおり、10年後には深刻な人材不足に陥ると言われています。  若い人材の確保に向け、就労促進の取組を官民連携して行っていますが、県内の高卒者の入職は1,000人を超える求人に対して200人程度にとどまっており、さらなる取組の拡充が必要と認識しております。  建設業界の方々からは、現在の建設系学科高校の存続はもとより、建設系学科のない地域への学科の新設や、資格取得につながる授業編成、さらには普通高校卒業後の学生を含め県内で建設系の専門知識を習得できる場の拡充など、建設産業への就職に直結する学びの場の充実が求められていると認識しております。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には河川のしゅんせつ残土の農地整備への活用について御質問をいただきました。  しゅんせつ残土の活用については、これまでも農地の区画整理工事において水田や畑の耕土が不足する場合の客土として活用し、生産性の向上を図った事例がございます。一方、このようなしゅんせつ残土を活用する際には、その安全性や土質の確認、搬出時期と農地整備工事との工程の調整、加えて搬入に係る農家負担の軽減などの検討が必要となります。  今後も、様々な条件を確認した上で、客土としての活用のほか、周辺より農地が低い地区における基盤のかさ上げなど、区画整理工事と併せてしゅんせつ残土の活用を図ってまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 県立武道館に関わって2点御質問を頂戴いたしました。  まず、県立武道館の指定管理者が行う自主事業の方針と県の関与についてのお尋ねでございます。  県立武道館の運営につきましては、県立武道館基本構想において、武道での利用を主とし、大会等を積極的に誘致するほか、武道以外の多様な利用により施設の有効活用が図られることを方針の一つとしております。県教育委員会では、この方針に基づき、自主事業を含む事業の企画実施計画の内容等を指定管理者の選定に当たっての評価項目としているところでございます。  県教育委員会といたしましては、選定の際に示された計画に基づき、指定管理者において、まさに民間の発想で創意工夫して自主事業等を実施することで、県立武道館の効用を最大限に活用した利用が図られることを期待しているところでございます。  次に、県立武道館の今後の自主事業等についてのお尋ねでございます。  令和2年3月の開館以降、県立武道館では、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、自主事業や幾つかの大会、イベント等が中止を余儀なくされました。今後は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底しながら、民間が持っているノウハウ、発想を生かし、全国規模のスポーツ大会をはじめ多くの観客が訪れる興行イベント等が開催できるよう指定管理者と連携してまいります。  以上でございます。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君) 県土強靱化推進に向けての質問のうち、ダムを迂回して土砂を下流に流すバイパス工事の質問をしたところ、計画的に進めていくということでありましたけれども、そうしましたら、その分土砂は河川に堆積していくことが推測されます。流域の住民の皆様に不安を抱かせないような、要望に応えていただきながらの切れ目ないしゅんせつをこれからも要望するものであります。  県立武道館におきましては、武道の聖地として武道の振興に一層寄与するのみならず、多様なイベント開催により多くの方にお越しいただき、愛され、そして、より地域の活性化につながっていく施設となることを願いまして、私の今定例会の一切の質問を終わります。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、山田英喜議員。       〔8番山田英喜君登壇〕 ◆8番(山田英喜 君) 上田・小県群区選出、山田英喜です。  オーストラリアへのトップセールスを受けた今後の経済連携について、ナガノパープルなど県の開発した新品種の知的財産保護の2点についてお伺いいたします。  阿部知事は、10月29日から11月3日の日程でオーストラリアへトップセールスに行かれました。私も、総領事館や日本貿易振興機構のジェトロ、そしてシドニーで飲食店を営む経営者やバイヤーの皆様との懇談会など阿部知事に同行させていただき、大変大きな学びがありました。  オーストラリアは、日本との時差も少なく、季節が真逆のため、人的交流も多く、日本食の人気や日本語を学ぶ方が人口比で最も多いなど、日本に対する意識の高い国です。外務省の調査では、約8割の国民が対日関係は信頼関係などにおいて良好であると答え、4割以上が重要なパートナーとして選んでいることなど、日本とオーストラリアの関係は、今、かつてないほど良好と言われています。  現在、オーストラリアの最低賃金は約2,000円、平均年収は900万円と高く、選挙では理由なく投票しない場合罰金の対象となるため、国民の政治に対する意識が高いことも特徴です。  デジタル化の観点では、国民一人一人に番号が割り振られ、携帯には、一つのアプリの中に免許証やお薬の記録、ワクチン証明に加え銀行口座などもひもづけられ、特に行政におけるデジタル化のスピード感が大きく違うことを実感いたしました。  また、電車やバス、ライトレールやフェリーなどあらゆる公共交通がキャッシュレスとなり、クレジットカードの支払いの際も、ほぼ全ての店舗が、カードを差し込むタイプではなく、一瞬で決済できるタッチ決済で済みました。  オーストラリアの経済を支えているのは、石炭や天然ガス、鉄鉱石などの地下資源に加え、金融や保険、教育なども発展し、国内需要がサービス産業を牽引しています。また、メルボルンのあるビクトリア州では、水素エネルギーの分野で次のドバイを目指すとして多くの資金が投入され、研究が進められています。そして、1人当たりのGDPは日本の1.4倍と生産性が高いことも特徴となります。  このような経済力の強さから、私が11年前に生活をしていた頃から町の様子も大きく変わり、中心部から一部郊外にかけてライトレールが走り、ほぼ何もなかったエリアの一帯は建設ラッシュで様子が一変していました。今後も、今のシドニー空港での受入れが困難になる2036年完成を目指し、内陸50キロほどの場所に新たな西シドニー空港を建設、周辺をスマートシティーとして開発していくビッグプロジェクトが計画されています。  一方、日本は、少子高齢社会で生産労働人口が減少していくこともあり、経済面での不安も多く、消費が減少していくことから生産活動においても影響が及びます。私は、これまで何度も、人口減少に対し外国人労働者の受入れを過度に増やしていくよりもAI、IoTの活用や産業ロボットの開発によって生産労働人口を賄い、経済活動を発展させていくことと同時に、人口減少社会では当然消費も減少するため、外貨を入れていくために貿易の強化が必要であるということを主張させていただいてきました。  先日の質問で観光振興に対する成果の答弁がありましたが、貿易の観点から、今回トップセールスで知事はどのような印象を受け、特にどの分野において長野県にとってチャンスと感じましたでしょうか。また、今後の成果を見て再訪問するなど、継続した連携強化が重要と考えますが、所見を阿部知事にお伺いします。  そして、長野県からオーストラリアへは情報通信機器メーカーの販売拠点などが進出し、建設機械や印刷装置、医療用機械器具など2020年の輸出総額は35億6,800万円に上るということから、製造品などの輸出にも大きなチャンスと考えますが、今回のトップセールスを機にさらに強化していくことは考えられるか伺います。  続けて、ホームページの制作単価などが日本の4倍から5倍とも現地で伺いました。言語や通貨などの違いはありますけれども、仕組みやシステムなどは同じことから、メールや電話でのやり取りだけで完結できるため、ホームページ制作やソフトウエア開発などITの分野では海外展開のハードルが低いと感じます。この分野の事業者の海外展開について県の支援の可能性を林産業労働部長に伺います。  2020年4月にオーストラリアの首相がコロナ感染拡大への中国の初期対応などを調べる必要性を主張すると、中国側がこれに激しく反発し、貿易面における制裁を行うなど、中国とオーストラリアは関係が悪化しました。  その後も、国土や不動産が中国資本の企業に多く買われている実態に、オーストラリア連邦政府が対策を図ったことに対して中国政府が軍事的に圧力をかけるなど、両者の根は深く、関係の修復は簡単ではないと言われています。  こうした中、オーストラリアで中国企業を受け入れない動きもあり、例えば住宅メーカーなどにチャンスが訪れ体力のある大手を中心に徐々に進出している現状があります。時代の変化の中で、きっかけがあれば海外展開を考える意欲ある中小企業も出てくるのではと感じますので、午前中の丸茂県議の質問にもありました海外展開について、ジェトロなどと連携したハードルを下げる取組にも期待します。  次に、農産物の知的財産保護についてお伺いいたします。  長野県警は、先月21日、県が品種登録する高級ブドウの枝を許可なくフリーマーケットアプリで販売したとして、種苗法違反の疑いで2名を書類送検しました。ナガノパープルの苗が販売されていたとのことです。  9月定例議会の私の質問に対する答弁で、種苗法に基づく品種登録を行い、育成者の権利が守られるように栽培国・地域を限定し、海外への持ち出しを禁止していること、また、近年は、特に戦略的に、重要な品種については販売面においてもその名称を永久に維持できる商標権を活用し権利の保護を開始したことに加え、海外で無断増殖されないよう韓国、中国では品種登録を申請したことなどの答弁がありました。一方で、これらの対策を講じても、近年ネットによる無断販売が多いことや海外での無断栽培・販売への対応が難しいこと、さらには出国時の水際対策などが課題となっているとの説明がありました。  今回、新たにこのような違反が判明しましたが、こういった事象に対し、知的財産保護の観点からこれまでどのように対応してきたのか。また、育成者の権利が守られるように種苗法改正が行われ、県は、これまでの取組の中でも、種苗法を活用し、様々な対策を取ってきました。シャインマスカットの海外流出には歯止めがかからず、この事例に比べると今は知的財産保護が大きく前進したと考えますが、県は種苗法の効果をどのように評価しているか。  また、種苗法の運用上の課題をどう考え、県として今後どのように対応をしていくか。小林農政部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私にはオーストラリアでのトップセールスに関連して、特に貿易の観点からの所見についての御質問をいただきました。  まず、山田議員におかれましては、トップセールスに当たりまして幾つかの訪問先に御同行いただきまして、誠にありがとうございました。  今回の訪問で私が印象深かったのは、この場でもお話ししたように、最低賃金が21.38豪ドルということで非常に所得水準が高く、経済が活力に満ちているということ、また、コロナの対応でも、もうほとんどノーマスクで、シドニーの町全体に活力がみなぎっているということで、今の日本の置かれている状況とは大分違うということを感じました。  今回は貿易の視点でございますけれども、まず、オーストラリアは、2020年の段階で、我が国にとっては第6位、オーストラリアにとっては第3位の貿易相手国ということで、非常に重要なパートナー国だというふうに考えております。本県からは、情報通信機器メーカーなど4社が販売拠点を展開しておりますが、平成27年1月に発効となりました日本・オーストラリア経済連携協定、日豪EPAや昨今の円安局面を踏まえますと、輸出拡大の余地は大変大きいものというふうに考えております。  今回、県産品のPRを行いました。農産物については動植物検疫が厳しいので少し難しい面があると思っておりますが、非常に和食が広がっていて日本酒の評価も高いということで、日本酒輸出の可能性は大きいのではないかというふうに思っております。また、お米やみそをはじめとした加工食品についても関心が高いということを改めて実感しました。  関係者とお話をすると、価格が高くともそれに見合う価値があればオーストラリアでも十分受け入れられるのではないかということで、こうした分野も伸び代が大きい分野だというふうに感じております。山上大使ともお話をさせていただき、日豪関係の重要性について私も改めて認識して帰ってきたところであります。  今申し上げたように、日本酒の販売拡大をこれから着実に進めていけるように取り組んでいきたいと思いますし、その他の分野での経済交流についても継続的に連携拡大ができるように取り組んでいきたいと考えています。  私が次にいつ訪問するかということは今の時点では分かりませんけれども、継続的な関係性を築くことができるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) オーストラリアトップセールスについて2点御質問をいただきました。  初めに、オーストラリアへの製造品などの輸出強化についてのお尋ねでございます。  県では、中小企業への支援として、これまで、国内大手企業の海外進出状況や中小企業の意向を踏まえ、日系企業の生産工場が多く集積する東アジアや東南アジアを主たるターゲットとして、生産用機械や輸送用機械、情報通信機器の電子部品、デバイス等の輸出強化に取り組んできました。  議員の御質問でも触れられておりましたけれども、県内からオーストラリアへ輸出されている製造品は、現在、小型建設機械や医療機器、プラスチック形成加工機などが中心でありますけれども、平成27年1月に発効となった日本・オーストラリア経済連携協定、日豪EPAにより、発効後10年間で両国の貿易額の約95%の関税が撤廃される予定であり、自動車や一般機械等の輸出増加が見込まれることから、それに伴い、県内事業者の製造品も販路拡大につながるものと期待しております。  現在、県産業振興機構では、県内製造事業者と国内外の企業をつなぐマッチングサイト「テクノリサーチナガノ」により販路拡大を支援しておりますが、現下の円安局面を生かせるようサポート体制を強化し、世界に向けて発信することで売り込んでいきたいと考えております。  次に、県内IT事業者の海外展開について、県の支援の可能性についてのお尋ねでございます。  議員も御指摘されましたが、人件費が海外と比べて相対的に低下していることもあることから、ホームページ制作やソフトウエア開発等の受注を増やすチャンスとも受け止めております。  一方で、高度IT人材は処遇面で海外へ流出することが懸念されるところであります。  長野市に拠点を置き、オーストラリアやインドネシア等でクラウドサービスを行っている使えるねっと株式会社のジェイソン・フリッシュ社長を訪ねた際に、長野で創業したきっかけとして、留学先が日本であったことや、御出身のオーストラリアより高い収益が期待できると見込んでいたところ、現在は県内での人材確保が難しく、育成したアルバイト学生も県外や海外へ出ていってしまうなど深刻な人材不足にあるとのお話をお聞きしたところです。  こうした中、県と信州ITバレー推進協議会では、ITベンダー、大学等が参画するプロジェクト共創ネットワークを立ち上げ、ITトップリーダーが集う軽井沢NAGANOサロンの開催や、海外IT人材の確保に向けたコンソーシアムをスタートするなど、国内外のIT人材の呼び込みに取り組んでおります。  また、今年度、IT企業の受注を増やすべく、幕張メッセで3年ぶりに開催されたアジア最大級のIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC」に出展し、県内企業のデジタル技術など様々なソリューションを世界のリーディング企業に向けてPRしてまいりました。  今後とも、こうした取組を通じ、県内のIT事業者の振興に努めてまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には県育成品種に関連して2点御質問をいただきました。  初めに、知的財産保護の観点に基づくこれまでの対応についてでございますが、本県が育成し種苗法に基づき登録した品種につきましては、本県の許諾なしに種苗を増殖し譲渡する行為は育成者権の侵害となります。  本県においては、農業試験場知的財産管理部が県が育成した品種の知的財産の取扱いを総括しており、生産者や種苗業者など関係者を対象に研修会等を開催し、法律の内容とその遵守の啓発を図っているところです。また、インターネット上での販売状況や直売所の巡回などの監視を実施することで、違法な事案の発見や発生抑止に努めております。なお、違反が確認された場合は、法に基づく当事者への差止め請求の実施や、今回のように案件によっては警察に相談するなどの対応をしているところです。  次に、種苗法の評価と運用上の課題、今後の対応についてでございます。  今回の種苗法改正に伴い、登録品種については栽培国・地域の限定が可能となり、育成者の意思で海外での栽培を禁止できるようになったことや、国内では、栽培地域を限定することで、新品種の産地ブランドの確立にも貢献するものと評価しております。  一方、運用上の課題につきましては、議員からもお話がありましたが、今回の事案のようにインターネット上での無断販売が匿名で行えてしまうこと、海外への種苗の持ち出しを防止する水際対策が難しいことなどが考えられます。今後は、本県単独ではなく、国や都道府県ネットワークを通じた複数による監視の実施や種苗の販売時期を重点に、不正販売防止に向けた監視の強化を図ってまいります。  さらに、海外での無断栽培・販売への対応につきましては、種苗流出のおそれがある国や地域での知的財産権の取得を進めるとともに、出国時の検疫体制の強化による水際対策の徹底などを国へ要請してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔8番山田英喜君登壇〕 ◆8番(山田英喜 君) それぞれ答弁をいただきました。  先ほどITの分野での質問をさせていただきました。私の知り合いが県の主催するIT人材を育成するプログラムに申込みをして、そこから仕事につながって活躍している姿を見ておりますが、その方にお話を聞くと、最初の仕事を探すのが相当大変だったということですので、そういう部分も海外等も含めて何か検討していただけるとありがたいと感じます。  日本では、1991年にバブルが崩壊し、私も先輩方に当時の話を聞かせていただくと、今では信じられないような景気のいい話を聞きます。日本のバブル期までとはいかなくとも、今のオーストラリアは当時の日本の好景気を思い起こすような状況ではないかと想像いたしました。  また、当時と大きく違うのは、物理的な距離は変わらなくとも、インターネットや移動方法などが発展し、距離が近くなっていることだと感じます。今回のトップセールスなどをきっかけに、好景気の国から外貨を稼ぎ、国内、県内での景気回復の後押しになることを望みます。  また、同時に、今回質問した県内で開発された農産物、製造品なども加えて商品価値を守り、付加価値の高い商品をそろえていただくことが貿易の強化にもつながるものと考えます。引き続きの御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) この際、15分間休憩いたします。         午後2時16分休憩          ──────────────────         午後2時32分開議 ○議長(丸山栄一 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     続いて発言を許します。  寺沢功希議員       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君) 「地域住民の避難を生徒に手伝ってほしい」、この一言から活動が始まり、生徒たちはこれまで知ることのなかった現状を目の当たりにすることになりました。松本深志高校では、2016年、学校の課題を地域住民と協力して解決する地域フォーラム「鼎談深志」が設立され、これまで、生徒自ら教職員、地域住民と対話を重ね、学校から出る音等学校と地域住民間に存在する様々な課題解決に取り組まれております。  設立当初から災害時の協力体制については話題になっていましたが、これまでの取組により築かれた関係から、昨年12月、地域から学校に対し冒頭の内容の正式な申入れが行われました。申入れを受けた学校は、地域に対し、安全が十分に確認できていないところに生徒を救助に向かわせること自体が本当に可能なのかと話され、難色を示しました。  せっかく築いた関係が険悪になりそうな学校と地域の間に鼎談深志を運営する地域交流委員会の生徒が割って入り、災害発生時、学校と地域それぞれが何ができて何ができないのか確認しようと提案し、学校が指定避難所になっていることもあり、そこから避難所開設ワークショップの取組に発展していきました。生徒、学校、地域に松本市危機管理課の行政が加わり、8回ほどの準備会を経てワークショップを開催。生徒たちの手により、その内容を踏まえ、避難所開設マニュアルが作成されました。  約4か月弱の取組の中で、それぞれの意識共有ができ、安心に向けて一歩が踏み出せた一方、新たな課題、決して安心することのできない現状を知ることとなります。「私たちには知ってしまった責任がある」、真っすぐな目でそう語る生徒たちから今回相談を受け、以下について質問してまいります。  災害対策基本法により、指定避難所は市町村が指定しています。県内では、松本深志高校のように県立高校82校中47校が指定避難所に指定されております。公民館など住民がよく知る地域の施設であれば避難所開設も想像できますが、住民が普段利用する機会がない県立高校での避難所開設はハードルが高いと推察されます。実際、今回の取組がなければ、松本深志高校での避難所開設はかなり難しかっただろうとの感想が聞こえてきていますが、現在、指定された全ての学校で、市町村、地域住民と3者での避難所開設を想定した取組が行われているのでしょうか。  県立高校を指定避難所に指定する際は、市町村が学校に依頼をし、学校ごとにその判断が行われ、承認した場合、学校から県教委へ報告しているとのことですが、承認までの過程に県教委が関与しないのはどのような理由からでしょうか。  市町村によっては、それぞれの地域ごとに避難所となり得る大きな施設が必要と調整していたところ、県立高校が合致したため指定を行いましたが、そこにトイレがあるかないかなど施設の設備状況を把握されていない場合もあるようです。指定の際は、市町村に対し施設図面等を提供し、施設の設備状況等を詳しく説明しておく必要があると思いますが、現状はいかがでしょうか。  県教委では、災害発生時、指定避難所に指定された県立高校において地域の避難者が利用できる箇所を教育に影響がない程度の範囲とされ、いわゆる教室棟は想定していないようですが、市町村は校内全ての施設が利用できると認識しており、両者の想定が一致していないようであります。避難所開設時に混乱が生じないよう、県教委が入り調整をしておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。  さらに言えば、災害発生直後、少なくとも数日は当然に授業を行うことが困難であることから、授業再開までの間は教室棟の利用も可能とすべきと考えますが、いかがでしょうか。  人間は、最悪の場合、1日、2日食べることは我慢できても、トイレを我慢することはできません。過去の災害時も、避難所のトイレは目を覆いたくなるようなひどい状況だったようであります。指定避難所に指定されている県立高校では、避難所のメインとなるであろう体育館にトイレが設置されていない学校や、外トイレが設置されていない学校もあります。  また、災害時、簡易トイレキットの使用が想定されますが、これは洋式トイレでないと使用できず、いまだ和式トイレが設置されている学校もあります。  指定避難所に指定されている県立高校のトイレの設置状況、整備状況及び災害対応状況はどのような状況でしょうか。以上、教育長にお聞きします。  県では、市町村に対し、指定避難所の設備が十分でない場合は計画の見直しを助言したり、設備の充実に向け災害用のトイレなど新たな設備を紹介しているとのことです。市町村からすれば、指定避難所に指定していても県有施設には手を加えることができず、お借りしている身であることは十分承知しているが、市町村に助言、アドバイスをするのであれば、まずは県自らが指定されている県有施設の整備を進めてほしいとの思いのようであります。  範を示すべく、県有施設の指定避難所である県立高校等のトイレ整備を率先して行っていくべきと考えます。そのためにも、市町村への対応と同様に、教育委員会などの施設管理者に対して助言や情報提供を行い、連携して進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。危機管理部長にお聞きします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 5点質問を頂戴いたしました。  まず、市町村、地域、学校の3者による避難所開設を想定した取組についてのお尋ねでございます。  指定避難所の開設に向けては、長野県地域防災計画において、市町村は、指定避難所となる施設の利用方法等について、事前に教育委員会等の関係部局や地域住民等の関係者と調整を図るものとすると定められております。  本計画に基づき、市町村が主体となり地域住民の方々と避難所開設に関する打合せ等を行っている県立高校は、指定避難所となっている47校中21校という状況でございます。例えば、松本市の指定避難所である県立高校8校では、毎年度松本市の主催により町会の方々と共に避難所開設に向けた連絡体制、鍵の受渡しや解錠の手順、避難所の開設手順や避難者の受入れ方法、発電機等備蓄品などの確認を行っております。また、松本市の主催による避難所開設訓練が、今年度は松本工業高校を会場として実施されたところでございます。  次に、避難所指定への県教育委員会の関与についてでございます。  現在、県立学校に対し市町村から避難所指定の要請があった場合には、教育長の権限に属する事務処理規定により委任されている財産管理者である学校長がその権限の中で判断することになっております。  県教育委員会といたしましては、長野県地域防災計画の中で、県は県有施設について市町村の指定避難所の指定に協力すると定められていることから、市町村から避難所指定の要請があった場合には原則として指定に同意するよう学校長に指導をしているところでございます。  避難所指定時の市町村への施設図面等の提供についてでございます。  災害対策基本法施行令において、市町村が避難所を指定する基準として、被災者等を滞在させるために必要かつ適切な規模のものであることと定められていることから、避難所の指定に当たっては、各学校が市町村の求めに応じ、施設の状況について図面等を含め提供を説明しているところでございます。今後は、市町村から避難所指定の相談等があれば、提供要請の有無によらず積極的に施設図面等の資料を提供するよう各校に周知してまいります。  県教育委員会による利用範囲の調整と教室棟の利用についてのお尋ねでございます。  長野県地域防災計画では、指定避難所の指定を受けている県立高校においては、学校長は、教育機能維持の観点から、あらかじめ指定避難所として使用させる場所についての優先順位等を定めておくとされております。  また、同計画において、先ほど申し上げましたように、市町村は指定避難所となる施設の利用方法等について事前に関係者と調整を図ることが求められております。  教室棟につきましては、例えば生徒在校時に災害が発生した場合に生徒や職員が使用したり、学校が再開された際に授業を行ったりするなどの理由から、事前調整の結果、使用できなかったり、優先順位が低くなったりすることが考えられます。  いずれにいたしましても、県教育委員会としては、避難者が利用できる範囲について事前に市町村との間で調整がなされることが重要であると考えておりまして、改めて各学校からも市町村に働きかけるよう周知してまいります。  なお、大規模災害発生時や緊急時には、事前の調整の内容にかかわらず、状況に応じて教室棟の利用を可能にするなど、柔軟に対応することについても学校に周知してまいります。  指定避難所になっている県立高校のトイレの設置状況等についてのお尋ねでございます。  避難所に指定されている47の県立高校全てにおいて、避難所として想定される体育館やその付近に屋外から使用できるトイレを設置しているところでございます。  また、実際に災害が発生した場合には、教室棟などに設置されているトイレについても必要に応じて避難者が利用することを想定しているところです。  なお、長野県地域防災計画の中では、市町村が実施する計画として、仮設トイレ、マンホールトイレ等避難の実施に必要な設備の整備に努めると定められていることから、県教育委員会では、これらの災害対応のための仮設設備の設置場所の提供など、指定避難所の機能向上に向けて市町村に協力してまいります。  以上でございます。       〔危機管理部長前沢直隆君登壇〕 ◎危機管理部長(前沢直隆 君) 私には避難所の設備に関する施設管理者への助言等について御質問をいただきました。  そもそも学校は広い敷地を有しまして、たくさんの方にお入りいただける体育館を備えておるなど避難所として非常に有効な施設であるというふうに考えております。  令和元年東日本台風災害においても、実際に学校の施設が避難者の駐車場や仮設トイレの設置、ボランティアの方の炊き出しなどに活用された例がございます。  一方、指定避難所となる施設、これは県立高校に限ったことではないのですけれども、そもそも避難所として設置されたものではないことから、例えば一時的にトイレが不足するような場合には、その都度仮設で対応することが基本であるというふうに考えております。  ただし、一たび避難所として活用する際には、速やかに快適な避難環境を整える必要があるという点は議員御指摘のとおりでございますので、市町村や県では、民間事業者と締結している災害協定に基づきまして、迅速な物資調達の仕組みを平時から構築しているところでございます。  また、必要数を揃えるというだけではなく、避難所の良好な生活環境を実現するためにレンタル事業者に快適トイレの導入を促すとともに、市町村を対象とした研修を実施してまいったところでございます。  災害時の避難所の設置運営には、設置主体の市町村と県立高校をはじめとする県有施設の施設管理者との協力体制が不可欠であるというふうに考えておりますので、こうした県の研修に施設管理者の方の参加を求めるとともに、積極的に両者の相談に乗って助言や情報提供を行ってまいりたい、そのように考えているところでございます。  以上です。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君) 現在、県立高校以外でも16の県有施設が指定避難所に指定されております。県立高校、それから県立高校以外の16施設も改修が行われる可能性もありますので、アドバイスをするなどして災害時に避難所として十分に機能する設備となっているか改めて確認をし、整備を進めていただきたいというふうに思います。  平成31年4月より、通学区に縛られることなく、県内どこの地域の学校へも自由に入学、通学できるようになったこともあり、公共交通機関を利用して遠方から通学する生徒も多く、災害発生時には帰宅困難生徒が発生することが想定されます。県教委では、その生徒数を把握していますでしょうか。また、その数はどの程度でしょうか。当然ですが、市町村はその生徒数を把握しておりません。県教委は情報提供し、その数を市町村と共有しておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。  数年前、台風の接近が予想されたことから、各高校が授業を中止し、生徒を帰宅させる措置を取ったことがありました。その際、松本市内では、各校ほぼ同時に下校が実施されたことから、生徒の帰宅が集中し、ターミナル駅である松本駅を最寄り駅とする学校の生徒は乗車できましたが、それ以外の駅では満員のため乗車することができず、次の電車まで、悪天候の中、駅で1時間ほど待機することになり、かえって生徒を危険な状況に置くことになってしまいました。取りあえず学校から出すという対応として、責任逃れと受け取られかねません。地域の学校間で連絡や情報共有ができていないように感じますが、このような状況が発生したことを踏まえ、対応の再検討は行われたのでしょうか。また、現状はいかがでしょうか。  県内高校の多くは、災害発生時、生徒を保護者に引き渡すことを想定しているそうです。しかし、通学区が限定されている徒歩で通学可能な小中学校であれば分かりますが、様々な地域から生徒が集まる高校では、災害時、保護者が迎えに来ることが困難になることも想定されます。例えば、岐阜県では、県立高等学校非常変災時における対応方針を定め、その中で、在校中に気象警報等の発表や地震発生の場合は学校待機を原則とするとしています。  保護者への引渡しを想定したのはどのような理由からでしょうか。また、今後もこの想定のままでよいと考えておられるのでしょうか。そもそも、災害時、どのような対応が取られるのか知らない生徒、保護者がほとんどであるのが現状です。ホームページにすら掲載していない学校がほとんどです。たとえホームページに掲載してあったとしても、災害時は通信網の遮断も想定されるため、必要なときに閲覧ができないことも考えられます。県教委及び各高校の災害時対応方針、危機管理マニュアル等をオープンにし、生徒や保護者への周知、情報共有が必要だと思いますが、現状の取扱いはどのようになっておりますでしょうか。  今回のワークショップで、避難所開設初日を想定し、体育館に備蓄品全てを集めた際、参加者からは、あまりの少なさに、「これは見本ですか」や、「私はここに避難しない。安心できない」などの声が上がったそうです。備蓄品は、発電機、照明と簡易トイレ100個のみで、水、食料、防寒具等はありませんでした。これは、松本市が集中備蓄方式とし、災害発生後24時間以内に配送して対応することを想定しているためです。  熊本地震の教訓から生まれた集中備蓄システムですが、一方で、道路の寸断などにより配送できないこともあるのではないか。冬は夜間マイナス10度以下になることもある寒い長野県で、防寒具が届かない状態で一晩過ごせるのかといった懸念もあります。  さらに、現状では、県立高校に帰宅困難生徒用の県による備蓄は準備されておりません。例えば、松本深志高校では、約500人の帰宅困難生徒が発生すると推定しています。  岐阜県では、先ほどの対応方針に定め、入学時に集める徴収金より1日から3日分程度の食料、飲料水、保温シート等を購入して備蓄し、使用しなかった場合は卒業時に生徒に配っています。このほかに、教職員用の3日分の備蓄品、簡易トイレや生理用品等は県費により購入され、備蓄されています。  また、静岡県では、各学校で生徒、教職員の15%が帰宅困難になると想定し、その人数に対する3日分の飲料水、食料相当の予算を各校に5年ごとに配分、各校それぞれ購入し、備蓄しています。  一方、県教委では、「帰宅困難生徒には地域が分けてくれるでしょう。そのためにも地域と仲よくしておくことが必要ですね」との考えであります。市町村に考えを伺うと、「それは、もちろん地域住民でない生徒には提供しないとは言わないが、でもね」と困惑ぎみであります。  災害発生時は、自助、共助、公助という順番で対応しなくてはなりません。実際、県は、自助という部分で、企業に対し従業員のための備蓄をお願いしています。高校も企業と同様であり、さらに生徒の安全、生命を守るという責任からいえば、基本的には県において備蓄をする必要があると考えます。最悪でも、学年費を活用して整備し、何もなければ卒業時に配るなどの対応を取る必要があると思いますが、いかがでしょうか。  また、様々な対応を行い、最後まで現場にとどまっていることが予想される教職員の皆さんに対する備蓄品については災害発生時どのように対応する想定でしょうか。  以上、教育長にお聞きします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 頂戴いたしました5点の質問に順次お答え申し上げます。  まず、災害発生時の帰宅困難生徒数の把握とその人数についてでございます。  各学校においては、毎年、年度当初に生徒の通学方法について確認しており、県教育委員会もその報告を受けております。災害の対応は様々であるため、その全てにおける帰宅困難生徒数を推定はしておりませんが、災害発生時には、各学校で、この通学方法の調査に基づき、公共交通機関の運行状況や道路事情に応じ、帰宅に影響が出る可能性のある生徒数を速やかに把握できる体制を整えております。  帰宅困難生徒数の市町村との共有についてでございます。  県教育委員会においては、学校だけでは対応が難しい帰宅困難生徒が生じた場合を想定し、各学校が生徒の通学方法の状況について情報提供するなど市町村と連携することにより災害時の安全管理ができるよう周知してまいります。  台風接近時の帰宅対応の検討状況についてでございます。  議員御指摘の台風接近時の対応につきましては、鉄道会社の計画運休が急遽発表されたことによる緊急対応であったと記憶しております。このような状況が発生したことを受け、公共交通機関からできるだけ早く情報をいただけるよう日頃から連携を密にするとともに、校長会でも各地域の学校間で情報を共有するよう改めて周知したところでございます。  現状につきましては、台風の接近時には公共交通機関から早期の連絡をいただくことで学校においてもあらかじめ休校を決定するなど、混乱が生じない対応ができていると認識しているところでございます。  県立高校における災害時の生徒の保護者への引渡しの理由と今後についてでございます。  県教育委員会では、平成23年度に策定した県立高等学校における「防災計画」見直しの手引きの中で、大規模地震などの災害が発生したときに各学校がどのような場合に生徒を学校に待機させるかなどを明確にしておくことを求めております。  例えば、震度5以上の地震が発生した場合には生徒を学校で待機させることとし、それ以下では通学路をはじめとする地域の被害状況に応じて校長が判断することとしているところでございます。これは、一旦生徒を学校に待機させた上で、地域の被災状況を確認し、学校が立地する場所や生徒の通学方法などに応じて、引き続き学校待機とするか、保護者への引渡しを行うかといったことを決めることが必要であると考えているためでございます。各学校において迅速に正確な情報を把握した上で、学校待機を含めた対応ができますようこの手引の趣旨を学校現場に周知徹底してまいります。  災害時の対応方針等の生徒、保護者との共有についてでございます。  県教育委員会では、県立高等学校における「防災計画」見直しの手引きの中で、大規模地震などの緊急災害時における基本的な対応についての学校から家庭への通知例を示し、各学校に対して生徒や保護者と共有することを求めております。また、校長会の場においても、各学校において災害時の対応方針等をホームページへ掲載することや、年度当初に生徒や保護者に通知することなどを周知しているところでございます。県教育委員会といたしましては、これらのことに関して、学校での実施状況を把握しながら引き続き周知徹底してまいります。  県立高校における帰宅困難生徒用と教員用の備蓄についてのお尋ねでございます。  各学校に帰宅困難生徒の非常食などを備蓄することの必要性は認識しているものの、倉庫の確保や備蓄品の調達、更新などの課題があり、備蓄が進んでいる状況にはございません。現在、県内の一部の高校では、同窓会等の関係団体からの支援や保護者の御協力により生徒用の非常食や簡易トイレなどを備蓄しているところであり、議員御指摘の岐阜県でも保護者負担で備蓄していると確認しております。  県教育委員会といたしましては、他県や先進校の例を参考にして、備蓄を進めるための具体的な方策を各学校とともに検討してまいります。また、教員用の備蓄については、現在行っている学校はございませんが、生徒の安全確保などのため学校にとどまる教員用の備蓄の方法等について今後研究してまいります。  以上でございます。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君) 帰宅困難生徒については、市町村の想定にも影響を与えることですので、発生してから把握ということではなくて、ある程度の条件の下で数を把握していただいて市町村と情報共有をしていただけたらというふうに思いますので、お願いいたします。  共助、公助が届くまでどう過ごすか、つまり発生初日を乗り切れるかが問題になります。改めて、食料は我慢できますが、トイレ、寒さは我慢できません。冬場に発災した場合、現状では生徒が凍死してしまうという危険なこともないわけではありません。この現状を認識していただきたいというふうに思います。  これまで質問してきました内容は、既に2020年4月7日に県民ホットラインへ「県立高校の防災計画について」として御意見が寄せられておりました。  お子さんが県立高校に入学された保護者の方からで、学校から何の通知もないとし、1、災害発生時の生徒の留め置き及び引渡しの基準、2、保護者に対する通信可能時及び途絶時の連絡方法、3、生徒用の飲料水、食料、防寒用品、ヘルメット等の備蓄状況、これらは初登校以前に知らされるべきではないかといった内容でした。  これに対し、同年4月14日に尾島教育次長名で、危機管理マニュアル(防災計画等)の生徒・保護者への周知や連携協力体制の構築について各学校へ依頼しました。ほか、それぞれの項目に対し、実施されていると認識している、検討も必要と認識している等回答されています。  現状は、残念ながらあまり改善がないようにも感じますが、質問受付後にはどのような対応が取られたのでしょうか。また、2年以上経ったその後の状況の変化はありますでしょうか。尾島教育次長にお聞きします。  今回の取組により、生徒たちは、それぞれの地域から集まるがゆえに、広域連携が重要であると感じたそうです。質問に当たり、県及び市町村の危機管理担当の話をお聞きすると、それぞれの災害対応の計画はしっかりしたものであり、住民の安全、安心を第一に考えたものになっていると感じました。  しかし、その一方で、それがうまくかみ合っていないようにも感じ、災害発生時に広域的な連携や協力がスムーズに行われないのではないかとも感じました。現状では、広域的な取組としては、それぞれの図上訓練を見学し、感想を伝える程度とのことです。  とんちのような言い回しになりますが、平時において、災害時の想定外をどれだけ多く想定できるかが重要になってくると思います。そういった意味では、県が旗振り役となって、広域による情報交換、災害時シミュレーション、連携想定等、より関係が密になる場を提供するべきと考えますが、いかがでしょうか。危機管理部長にお聞きします。  今回の松本深志高校の取組は、究極の探究的な学びであり、学びと自治を掲げる県の考え方そのものであると思います。同校の放送愛好会により、取組の前後を含めた約4か月を追ったドキュメント番組が制作され、8分番組の「僕たちの避難所開設ワークショップ」は、第69回NHK杯全国高校放送コンテストにおいて入選、26分番組の「防災ボーダレス」は、「地方の時代」映像祭において奨励賞をそれぞれ受賞しております。番組を御覧になったとお聞きしておりますが、率直な感想はいかがでしょうか。  また、生徒が決して安全とは言えない状況下に置かれている現状、松本深志高校の生徒が提起した課題についてどのように捉えているか、教育長にお聞きします。       〔教育次長尾島信久君登壇〕 ◎教育次長(尾島信久 君) 私には県立高校の防災計画に関する県民ホットライン後の対応について御質問をいただきました。  県教育委員会では、令和2年4月に県民ホットラインにいただいた御意見に対応するため、改めて同年5月に開催しました校長会において県立高校の防災対応について徹底を図ったところであります。  具体的には、生徒や保護者に対し緊急災害時の基本的な対応について十分に情報共有ができていないとの御意見がございましたので、教育長から答弁いたしましたとおり、年度当初に留め置きの基準などの防災計画の内容について生徒や保護者に周知するよう徹底しております。  また、避難場所や避難経路の設定、危険発生時の教員の役割分担などの観点からマニュアルの点検を行うことという御意見につきましては、毎年状況を調査していまして、令和3年度は全ての県立高校で点検、見直しを行ったところです。  次に、帰宅困難生徒などのための備蓄については、先ほど教育長から答弁いたしましたとおり、倉庫の確保や備蓄品の調達、更新などの課題がございますので、今後具体的な方策を各学校と検討してまいります。  最後に、通信途絶時の連絡方法につきましては、災害時の連絡方法としているメールや通信アプリ等が利用できなくなることを想定して、できるだけ多くの連絡手段を確保するよう研修会等で説明しているところであります。  それでも保護者と連絡が取れない状況で生徒が帰宅できない場合は、学校に留め置いているところであります。
     以上でございます。       〔危機管理部長前沢直隆君登壇〕 ◎危機管理部長(前沢直隆 君) 私には災害対応に関しての市町村間の連携強化についてお尋ねをいただきました。  近年の災害は激甚化、頻発化しておりまして、単独の市町村での対応が難しい事象も増えてきていることから、県と市町村の連携はもとより、市町村同士の連携が非常に重要になってきているというふうに実感しているところでございます。  そのため、県では、市町村が抱える課題を共有するため、必要なテーマごとに市町村の防災担当者が参加する意見交換の場を設けているところでございまして、具体的には、例えば逃げ遅れゼロについて多くの市町村の参加を得て対応策を話し合い、取りまとめ結果を全市町村と共有したところでございます。  また、地域振興局においても、例えば松本でございますけれども、実際に市町村に職員をリエゾンとして派遣する防災訓練を行ったり、危機管理事象に関する課題について検討し情報共有をする機会を適宜設けるなど、市町村担当職員相互の顔が見える関係づくりに努めているところでございます。  今後も、あらゆる災害に備えた防災体制整備のため、市町村間の連携がより強固となるよう県としても積極的に関与してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 松本深志高校の取組への感想と生徒が提起した課題の捉えについてのお尋ねでございます。  私も番組を拝見いたしましたが、避難所開設などで課題解決に向けて行動を起こし、地域住民や行政、学校を巻き込み、実際に避難所設備充実の成果にまで発展させており、行動を伴った探究心が持つ力や可能性を改めて認識させていただきました。  生徒たちは、災害対応の課題を自分事として捉え、高校生の視点から自分たちはどうすべきかを考え、今の仕組みの足りない点を指摘しており、この番組の発信は災害対応の現状を我々行政や学校が改めて見つめ直す機会になったと感じております。  このような社会を変える経験は、社会課題に対する使命感や新たな課題に挑戦し続ける姿勢を育むものであり、多様な個人の幸福とよりよい社会、すなわち個人と社会のウエルビーイングの実現に向けて、今後も様々な人々と協働しながら多様な社会課題の解決に挑む経験を積み重ねていってほしいと願っております。  生徒たちが提起した課題について答弁をしてまいりましたが、生徒の命を確実に守れるよう、安心、安全な学校づくりのため、関係機関と連携し、県教育委員会としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君) 災害時マニュアルや対応等を校長会や県教委から各校に通知をしていただいたということですが、聞き取りをした結果、残念ながらまだ実施されていない学校があるのも現状であります。ぜひとも生徒、保護者の手に確実に渡るように、目に見えるように取組をしていっていただきたいというふうに思いますので、お願いいたします。  今回浮き彫りになった様々な課題に対して、引き続き生徒はその改善に向け取り組んでおります。その一つとして、生徒の発案により、災害が発生し通信網が遮断されたことを想定して、災害用伝言ダイヤルを利用して保護者と連絡を取る取組を行ったそうです。「私たちは現状を知ったから様々な取組や対応ができるが、他校の生徒は同じ高校生なのに何も知らずに生活を送っている。まずは現状を知ってほしい」という生徒の一言が印象的でした。  私たちには知ってしまった責任がある。動かなければ後悔する。この生徒の思いに対し、私たち大人が、議員が、行政が、子供たちを、生徒を、そして県民を守るという思いのほうが劣ってしまっているのではないかと考えさせられました。  今回、生徒の思いを酌んだ質問になっただろうか、生徒が納得できる答弁だったのかと不安もありますが、その不安が払拭できるよう課題が改善されることに期待いたします。  今回、高校生から相談を受け、質問をいたしましたが、これは決して特別なことではなく、県民の代弁者である志を持って活動するここにいる全議員が日頃行っている活動と何ら変わりはありません。私たちは、引き続きよりよい長野県を目指し活動していくことを県民の皆さんにお伝えし、私からの一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 以上で行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑は終局いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案委員会付託 ○議長(丸山栄一 君) 次に、知事提出議案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案の報告 ○議長(丸山栄一 君) 次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和4年12月9日   長野県議会議長 丸 山 栄 一 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和4年11月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 26 号 令和4年度長野県一般会計補正予算(第5号)案       〔議案等の部「1議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(丸山栄一 君) 以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君) ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加いたします。  本案を議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) ただいま提出いたしました追加議案につきまして、御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、総額554億5,961万9千円の令和4年度一般会計補正予算案であります。  原油価格・物価高騰等の長期化は、県民生活や事業活動に多大な影響を及ぼしています。これに対応するため、国の総合経済対策を踏まえ、このたび、「長野県総合経済対策」を策定しました。国の補正予算等を最大限活用し、「価格高騰緊急対策」、「県内需要の喚起」、「活力ある社会の推進」、「安全・安心の確保」の4つの観点から、県民生活を守り、県内経済を活性化するための取組を推進してまいります。提出いたしました補正予算案は、この経済対策の実行に必要な施策に係るものであります。  「価格高騰緊急対策」としては、きのこ培地等の生産資材価格高騰分の一部を助成するとともに、輸出に対応した精米施設の新設を行う事業者や、経営規模拡大のための農業用機械を導入する農業者を支援するほか、素材生産コストを低減するための高性能林業機械導入や県産材の製材・集成材施設での設備導入、木材の安定供給のための森林作業道整備への支援を行います。  「県内需要の喚起」としては、現在実施している「信州割SPECIAL」について、今後の感染状況を見極めた上で、年明け以降も実施してまいります。  「活力ある社会の推進」としては、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境を整備するため、妊娠時から出産・子育てまでの伴走型相談支援と、10万円相当の経済的支援を一体的に行う市町村を支援します。また、デジタル分野における女性の就業促進を図るため、企業でのインターンシップによるスキルアップを支援するとともに、大型商業施設における出張申請受付などにより、マイナンバーカードの普及促進を図ります。教育環境を充実するため、諏訪養護学校、伊那養護学校教室棟の増築や農業大学校の研修用農業機械の整備を行うほか、中学校における休日部活動のあり方を地域全体で検討する市町村を支援します。障がい者の地域移行を推進するため、社会福祉法人によるグループホーム等の施設整備に対して助成を行います。  「安全・安心の確保」としては、全国で送迎用バスに子どもが置き去りにされる事故が複数発生していることを受け、幼稚園、保育所、障害児通所支援事業所、学校等におけるバスへの安全装置の設置や登園管理システムの導入等を促進します。県立学校において新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底するため、消毒液やサーキュレーターなど必要な物品を追加購入します。国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を最大限活用し、道路等の老朽化対策、流域治水対策、治山施設整備、ため池の耐震化、農業集落排水施設や自然公園施設の整備など防災・減災対策を推進するとともに、歩道の設置などによる通学路等の交通安全対策や、農地の区画拡大、かんがい施設の整備を実施してまいります。  今定例会冒頭に提出した補正予算案と併せ、事業効果が早期に発現するよう全庁挙げて取り組んでまいります。  この補正予算案の財源として、国庫支出金289億452万4千円、県債250億2,900万円、分担金及び負担金8億2,210万円、その他地方交付税など7億399万5千円を見込み、計上いたしました。  本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと、1兆1,684億8,351万2千円となります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。 ○議長(丸山栄一 君) 以上であります。  質疑の通告がありませんので、本案を所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △請願・陳情提出報告、委員会付託 ○議長(丸山栄一 君) 次に、去る9月定例会後、県議会に対して請願及び陳情の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読、議案等の部「5 請願・陳情文書表」参照〕 ○議長(丸山栄一 君) 以上であります。  ただいま報告いたしました請願及び陳情を、それぞれ関係の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。請願・陳情文書表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △陳情取下げの件 ○議長(丸山栄一 君) 次に、お手元に配付いたしましたとおり、陳情の取下願がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  ただいま報告いたしました陳情取下げの件を本日の日程に追加いたします。  本件を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本件については、それぞれ願い出のとおり取下げを許可するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ願い出のとおり取下げを許可することに決定いたしました。       〔議案等の部「6 陳情取下願」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案及び委員会提出議案の報告 ○議長(丸山栄一 君) 次に、議員及び議会運営委員長から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕 議第1号         社会インフラの老朽化対策の更なる推進を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一            賛 成 者              小 島 康 晴  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  宮 本 衡 司  小 池   清              山 岸 喜 昭  依 田 明 善  石 和   大              堀 内 孝 人  酒 井   茂  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  荒 井 武 志              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文
                 諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第2号         公共施設等の除却に対する財政措置の拡充を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一            賛 成 者              小 島 康 晴  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  宮 本 衡 司  小 池   清              山 岸 喜 昭  依 田 明 善  石 和   大              堀 内 孝 人  酒 井   茂  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  荒 井 武 志              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第3号         保育人材の確保に向けた処遇改善等の一層の充実を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              小 島 康 晴            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  宮 本 衡 司  小 池   清              山 岸 喜 昭  依 田 明 善  石 和   大              堀 内 孝 人  酒 井   茂  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  荒 井 武 志              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第4号         帯状疱疹ワクチンの定期接種化等を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              諏 訪 光 昭            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  宮 本 衡 司  小 池   清              山 岸 喜 昭  依 田 明 善  石 和   大              堀 内 孝 人  酒 井   茂  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 島 康 晴  小 林 東一郎              荒 井 武 志  埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫              中 川 博 司  寺 沢 功 希  花 岡 賢 一              池 田   清  熊 谷 元 尋  望 月 義 寿              宮 澤 敏 文  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第5号         療育手帳の法制化及び基準の統一化を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              諏 訪 光 昭            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  宮 本 衡 司  小 池   清
                 山 岸 喜 昭  依 田 明 善  石 和   大              堀 内 孝 人  酒 井   茂  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 島 康 晴  小 林 東一郎              荒 井 武 志  埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫              中 川 博 司  寺 沢 功 希  花 岡 賢 一              池 田   清  熊 谷 元 尋  望 月 義 寿              宮 澤 敏 文  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第6号         介護保険制度の改善等を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              毛 利 栄 子            賛 成 者              小 林 君 男  高 村 京 子  和 田 明 子              両 角 友 成  山 口 典 久  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第7号         適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入中止を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              高 村 京 子            賛 成 者              小 林 君 男  毛 利 栄 子  和 田 明 子              両 角 友 成  山 口 典 久  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第8号         軽油引取税の課税免除措置の継続を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              宮 澤 敏 文  宮 本 衡 司  小 林 東一郎              高 村 京 子            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  共 田 武 史  大 畑 俊 隆              宮 下 克 彦  竹 花 美 幸  竹 内 正 美              丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫  山 田 英 喜              小 島 康 晴  荒 井 武 志  埋 橋 茂 人              続 木 幹 夫  中 川 博 司  寺 沢 功 希              花 岡 賢 一  池 田   清  熊 谷 元 尋              望 月 義 寿  諏 訪 光 昭  小 池 久 長              清 水 純 子  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  毛 利 栄 子              両 角 友 成  山 口 典 久  和 田 明 子              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第9号         スキー場インフラの整備に対する支援の強化を求める意見書案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              宮 澤 敏 文  宮 本 衡 司  小 林 東一郎              高 村 京 子            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  共 田 武 史  大 畑 俊 隆              宮 下 克 彦  竹 花 美 幸  竹 内 正 美              丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫  山 田 英 喜              小 島 康 晴  荒 井 武 志  埋 橋 茂 人              続 木 幹 夫  中 川 博 司  寺 沢 功 希              花 岡 賢 一  池 田   清  熊 谷 元 尋              望 月 義 寿  諏 訪 光 昭  小 池 久 長              清 水 純 子  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  毛 利 栄 子              両 角 友 成  山 口 典 久  和 田 明 子              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。       〔議案等の部「1 議案 (2)議員提出議案」参照〕          ────────────────── 委第1号         長野県議会の保有する個人情報の保護に関する条例案提出書                                令和4年12月8日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              議会運営委員長 酒 井   茂  地方自治法第109条第6項及び長野県議会会議規則第23条第2項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
          〔議案等の部「1 議案 (3)委員会提出議案」参照〕 ○議長(丸山栄一 君) 以上であります。  ただいま報告いたしました議員提出議案及び委員会提出議案を本日の日程に追加いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 最初に、議第1号「社会インフラの老朽化対策の更なる推進を求める意見書案」、議第2号「公共施設等の除却に対する財政措置の拡充を求める意見書案」、議第3号「保育人材の確保に向けた処遇改善等の一層の充実を求める意見書案」、議第4号「帯状疱疹ワクチンの定期接種化等を求める意見書案」、議第5号「療育手帳の法制化及び基準の統一化を求める意見書案」、議第8号「軽油引取税の課税免除措置の継続を求める意見書案」及び議第9号「スキー場インフラの整備に対する支援の強化を求める意見書案」を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本案については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案それぞれに対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を一括して採決いたします。  本案それぞれ、原案どおり決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ原案どおり可決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、議第6号「介護保険制度の改善等を求める意見書案」を議題といたします。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案は提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○議長(丸山栄一 君) 起立少数。よって、本案は否決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、議第7号「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入中止を求める意見書案」を議題といたします。  提出者の説明を求めます。  高村京子議員。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君) 日本共産党県議団、高村京子です。議第7号「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入中止を求める意見書案」の提案理由の説明をさせていただきます。  新型コロナ感染拡大が長引く中、度重なる諸物価の高騰により、中小事業者は今大きな打撃を受けています。売上1,000万円以下の事業所は、消費税は減免されています。しかし、インボイス制度では、免税事業者は適格請求書を発行できず、仕入れ税額控除の対象から外れることから、取引からの排除や不当な値下げを強いられるおそれがあり、課税事業者への転換を余儀なくされ、納税に伴う事務や税負担が重くのしかかります。  現在、厳しい経営環境の中で、休廃業する事業所が増加傾向にあります。商店街を歩きますと、「長い間御愛顧ありがとうございました。閉店いたしました。」の張り紙が。また、インボイスの影響を尋ねたお店では、その頃うちは店を畳んでいますと言われ、ショックを受けました。  来年10月からのインボイス導入で、小規模事業者の存続が一層危ぶまれます。中小企業など125万社が参加する日本商工会議所が、9月の意見書で、十分な検証は行われていない、混乱が避けられない場合は導入を延期すべきと強い危惧を表明されています。日本商工会連合会、全国中小企業団体同友会など延期、廃止、中止を求める声が、各地、各団体から沸き起こっています。  11月14日、俳優連合の西田敏行理事長は、インボイス制度の中止を求める声明を出しました。16日には、インボイス問題検討・超党派議員連盟で、アニメ、漫画、演劇、声優・俳優の4団体の代表が、10月、11月に取り組んだアンケートで、回答者の半数が年収300万円以下、インボイス導入で19.2%が廃業せざるを得ないと回答しているとして、フリーランスや小規模事業者の廃業や倒産が増えれば、彼らと一緒に作品を作っている中小事業者も事業が立ち行かなくなり、業界そのものの縮小、クオリティーの低下は免れないと訴えています。さらに、出版・映像やエンタメ・文化団体からもインボイスの反対声明が続々と上がっています。  飲食店、小売業者、建設の下請事業者、個人タクシー、ダンプ運送物流業者、農家では販売農家の9割が免税事業者であり、地域循環型経済を支える幅広い業界が深刻な経営危機の事態となりかねません。人々の暮らしや地域社会を支え、潤いや文化の風を与えてくれる小規模事業者が活躍できる環境があってこそ豊かな社会ではないでしょうか。コロナ禍と過酷な諸物価高騰の中、頑張る小規模事業者を守るために、長野県議会から国会及び政府に対しインボイス制度の導入中止を求めようではございませんか。議員各位の御賛同を心よりお願いし、提案説明といたします。 ○議長(丸山栄一 君) 以上であります。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○議長(丸山栄一 君) 起立少数。よって、本案は否決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △委員会提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、委第1号「長野県議会の保有する個人情報の保護に関する条例案」を議題といたします。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案は提出者の説明を省略することに決定いたしました。  本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本案は原案どおり可決されました。          ────────────────── ○議長(丸山栄一 君) 次会は、来る12月16日午後1時に再開して、各委員長の報告案件を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって散会いたします。         午後3時27分散会...